「石の上にも三年」は本当か 元マイクロソフト役員の回答 (4/4ページ)
私自身、日本マイクロソフトでは22人のメンターをしていました。
――ちなみに越川さん自身のメンターは、具体的にどのような方ですか。越川:私が日本マイクロソフトに在籍した当時、社長であった樋口からは随時心を揺さぶられるアドバイスをもらっていました。また、いまでもfacebookのメッセンジャーでやりとりをする等、カジュアルな形でメンター/メンティの関係を続けさせてもらっています。
――社内のメンターということは「ロールモデル」としての意味合いが強かったということでしょうか。越川:そのとおりです。なぜ私は樋口をロールモデルとしたのか。理由はいくつもありますが、その最たるものに「顧客主義をつらぬき、決してお客様から逃げなかったこと」があげられます。
当時、私はチーフクオリティオフィサー(最高品質責任者)の立場にあったため、何かクレームが入るたび、謝罪担当としてお客様のところへ赴かなければなりませんでした。そんなとき、樋口は決まって出張や社内会議をすべてキャンセルし、現地にかけつけてくれたんです。
――そのような状況で、樋口さんはどのように立ち振る舞われたのですか。越川:いつも、ダークグレーのスーツを着て、白いシャツに地味なネクタイという出で立ちで、秘書もつけずに、ひとり誰よりも先にお客様のオフィスに着いて待っていました。
応接室に通されても、お客様が来るまでぜったい椅子には座らず、立って待っている。お客様が部屋に入ってきたら、まず深々とお辞儀をし、一切の言い訳をせずにお詫びをする。そして解決策を提示し、その場で実現を約束する。このことを徹底していました。
――つまり、樋口さんが先陣を切って顧客対応をなさっていたわけですね。越川:はい。その結果、日本マイクロソフト側がいかに真摯に事態に向き合おうとしているかが相手に一発で伝わって。お客様は、怒るどころか逆に樋口に魅了されてしまいます。
実際、500件以上の謝罪訪問をしましたけれど、そのうち発注がキャンセルになったのは1件だけで、28%のお客様がむしろ契約を増やしてくれたのです。
――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。越川:自分にとっての幸せとは何か。何のために働いているのか。こうした自問自答をし、目標を明確にした上で、意識を変えて、手段としての働き方を考え直していただきたいと切に思っています。
そして、もし働き方を変えなくていけないと思ったら、どんなに些細なことでも構いませんので、今日から試していただきたいですね。
ITを使った作業の効率化、他者の巻き込み、会議の効率化、メール依存の脱却など、是非振り返って改善し、進捗を可視化して安心していってください。
(了)
※越川氏は2016年12月末に日本マイクロソフトを退職。2017年1月より、株式会社クロスリバーを経営している。