おみやさん刑事役 渡瀬恒彦さん死去 早期発見が重要な胆嚢疾患について
2017年3月14日(火)俳優の渡瀬恒彦さんが多臓器不全のため、都内病院で亡くなったことがわかりました。72歳でした。(
参考)
人気刑事ドラマシリーズの主演を何本も務められ、「おみやさん」「タクシードライバーの推理日誌」「警視庁捜査一課9係」「十津川警部シリーズ」などで活躍されておりました。
渡瀬さんは2015年に
胆嚢がんを患い、闘病中とのことでしたが、そもそも胆嚢とはどのような役割を持つ臓器なのでしょうか。
今回は胆嚢の概要、胆嚢に関する疾患、胆嚢を健康に保つ生活習慣などをまとめてみました。
胆嚢とは

胆嚢は、肝臓の下部に存在している洋ナシ大の臓器で、肝臓で脂肪が分解された際にできる胆汁を腸に押し流す、ポンプに似た働きをしております。
人間が食べた物を消化、吸収するための重要な役割を持っており、普段、胆嚢は肝臓で合成された胆汁を濃縮し、貯蔵しています。
胆汁
肝臓で作られる消化液のことで、胆管を通り、胆嚢に貯まります。そして、食事の刺激などで胆嚢が縮んで胆汁を放出します。
胆石
肝臓で脂肪が分解された胆汁の成分に異常があったり、胆嚢が充分に収縮せず胆汁が滞ってしまうと、胆石と呼ばれるものが出来る場合があります。
胆石のできる場所は3カ所もあり、その位置によって症状に違いが生じます。
■ 胆石のできる場所
・肝臓の中
・肝臓と胆嚢をつなぐ胆管
・胆嚢
■ 胆石の種類
・コレステロール結石
・ビリルビンカルシウム結石
・黒色石
日本人に多いのは「コレステロール結石」と言われております。 胆嚢の疾患

胆嚢がん
胆嚢にできる悪性腫瘍のことで、60代に多いことから、原因の一つは加齢にあると考えられます。
胆石症を合併することも多いのも特徴の一つです。
■ 症状
初期の段階では無症状が多く、そのため、自分では気付くことは難しいとされています。
・ 発熱
・ 腹痛
・黄疸など
■ 治療法
基本的には手術になります。進行度により胆嚢だけでなく、肝臓の一部やリンパ節の摘出も必要となります。
しかし、転移がある場合、高齢で手術に耐えられない場合などには、手術が不可能と判断されることもあります。
手術以外の治療法としては、抗がん剤や放射線による治療があります。
胆嚢ポリープ
胆嚢の内側にできる粘膜の ポリープで、ほとんどは良性とされて経過観察をすることになります。
しかし、ポリープが大きくなると悪性の可能性が高まり、重症化する場合もあります。
■ 症状
・鈍痛
・体重減少
・発熱
・黄疸
・ 下痢など
(※悪性だった場合)
■ 治療法
基本的には経過観察をしていくことになりますが、胆石に成長する可能性があるため、脂肪やアルコールを控えるなど食生活の乱れに気をつけ、 ストレスをためないようにしましょう。
胆嚢炎
胆嚢や胆管が細菌感染によって 炎症をおこす病気で、胆石が原因になることが多いです。
胆石が好発する中年以降の女性がなりやすいとされています。
■ 症状
急性と慢性で症状が変化します。
《急性》
・食後の体の痛み
・悪寒
・発熱
・茶褐色の尿
・黄疸
重症化すると、全身に細菌がまわって、 敗血症をおこし意識障害をひきおこしたり、胆嚢が化膿し破れて腹膜炎を引き起こす危険もあります。
《慢性》
・腹部に痛み
・断続的な発熱
・悪寒
・高熱
・黄疸
症状は急性よりも慢性の方が軽い場合が多いです。
■ 治療法
細菌感染が起こった場合は抗生物質を用いて鎮静化させます。
また慢性化している場合は、胆嚢がんの危険性も高まるため、定期的な健診を受け、予防につとめましょう。
胆石症
胆石が肝臓、胆嚢、胆管にできる症状で、できた部位によって名称や症状が異なります。
しかし、胆石がある人が皆、症状が出るわけでもありません。
■ 症状
・腹痛
・右肩に広がる痛み
・ 吐き気
・ 体のだるさ
・ 食欲がなくなる
・肝機能障害
十二指腸に胆石が流れてしまうと黄疸が出て、急性胆嚢炎や急性胆管炎、胆石膵炎など起き、重症化してしまうことがあります。
■ 治療法
根本的な治療として、胆石が胆管につまっている場合は、内視鏡的に取り除く方法が行われます。
胆石症を発症していたり、胆管炎、胆嚢炎を起こした場合には、手術で取り除くことがあります。
胆嚢摘出後症候群
胆嚢を摘出する手術を受けた後であるにもかかわらず、まだ胆嚢が残っているかのように、胆石の発作などに似た症状を感じる病気のことです。
■ 症状
・上腹部の痛み
・発熱
・吐き気
・ 便秘
・下痢
・腹部の圧迫感や膨張
など
■ 治療方法
主に胆汁の流れをよくするための薬が使われます。
胆嚢に関係のある検査数値

健康診断などで目にするALP(アルカリホスファターゼという酵素の略称)の数値が胆嚢に関係してきます。
一般に臓器が障害を受けると血液中にALPが流れ出してしまいます。特に肝臓から胆嚢へとつながっている胆管が詰まってしまうと、胆嚢への排出が阻害され、逆流を起こし血液中に流れ出て行ってしまいます。
胆嚢結石などで胆管がつまっている場合などに、ALPが高くなります。
胆嚢が危ないかも…危険な腹痛セルフチェック

□ 腹痛に波がある
□ 空腹時に腹痛が起きる
□ 痛みが同じ場所
□ お腹が張ったり吐き気がある
□ 下痢をしている
□ 発熱がある
□ 腰の痛みがある
□ 痛み止めをよく飲む
□ 食欲がない
□ 体重減少がある
□ 数日間以内に火を通していない生ものを食べた
□ 周りに同じような症状の人がいる
□ 生理痛ではない痛みがある
□ ストレスが溜まりやすい
□ お酒が好き
また、胆嚢、胆管に異常がある場合、「 みぞおちから右側の肋骨の下」に痛みが起きるので、注意してください。
胆嚢を健康に保つ習慣

■ ジャンクフードなどの脂肪の多い食べ物を控える
■ お酒を飲み過ぎない
■ 栄養バランスのとれた食生活を意識する
■ 太り過ぎない
■ ストレスを溜めない
■ 適度に運動をする
規則正しい時間に食事をして、適度な脂肪(特に魚の脂がよい)を摂取して胆嚢を縮ませることが重要です。 太り気味の方は注意!胆嚢に関するお悩み相談例

質問1:胆嚢炎を患ったら胆嚢を摘出する?
■ 相談者(27歳女性)
2~3日前から空腹時や食後問わずに、みぞおちの膨張感と鈍痛、背中にも鈍痛があります。胆嚢炎の可能性はありますか?
また、胆嚢炎を患ったら胆嚢を摘出しなければならないのでしょうか?
■ 回答
胆嚢炎を心配されているようですが、必ずしも胆嚢炎で胆嚢を摘出することにはなりません。
軽症の場合には抗生剤の内服のみでおさまることもあります。
なお、空腹時にみぞおちが痛む場合は、胃や 十二指腸の潰瘍の可能性もあります。
質問2:ポリープががんになることはある?
■ 相談者(21歳女性)
健康診断にて腹部エコーをしたところ、大きさ5mm未満の胆嚢ポリープが見つかりました。
かかりつけの消化器内科には、来年また同じ健康診断機関で腹部エコーで見て比較してもらえば、1年おきの検査でOKだという回答をいただきました。
ポリープががんになることはあるのでしょうか?
■ 回答
5mm以内のものは良性のポリープであることが多いです。
極早期の胆嚢がんはエコーでは見分けることはできませんが、ポリープ大きさが10mmを超えた場合はがんを疑います。
5mmのポリープは決して珍しい所見ではありませんし、主治医の先生のご指示通り1年後の検査でいいと思います。
質問3:胆嚢が他の臓器に癒着している?
■ 相談者(47歳男性)
10年ほど胆石症を患っています。
慢性胆嚢炎の所見有りの診断をされ、この2カ月くらい37.0℃~37.5℃の微熱が続いており身体がとてもだるいです。
慢性胆嚢炎で微熱が続いていると言う事は、胆嚢が他の臓器に癒着しているのでしょうか?
■ 回答
慢性胆嚢炎が原因で発熱が起きているとしても、そればただちに他の臓器への癒着を意味するものではありません。
今回のような不明熱に関してよく考えられた上で、他院でもセカンドオピニオンという形で相談をされてみてはと思います。
最後に編集部から一言

胆嚢とはあまりメジャーな臓器ではありませんが、私たちにとって重要な役割を担っております。
最近体脂肪が気になる…といったような方は、胆嚢のためにも食生活を見直してみてはいかがでしょうか。
最後に渡瀬恒彦さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
(監修:Doctors Me 医師)