アメリカの気候学者が教えてくれた、気候と気候学者に関する10の事実 (5/7ページ)

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 産業革命による大気汚染が懸念されるようになったのもこの頃だが、化石燃料が大気に与える影響はようやく理解され始めたばかりだった。

 1861年、アイルランドの物理学者ジョン・ティンダルは、水蒸気とメタンや二酸化炭素のようなガスが大気中に熱を閉じ込める仕組みを明らかにした。またスウェーデンの化学者スヴァンテ・アレニウスは化石燃料の燃焼が”温室効果”を持つことに気づいた。

 だが、地球気温の上昇と温室効果ガス濃度を体系的に結びつけたのは、イギリスの蒸気技師ガイ・スチュアート・カレンダーが初めてで、1930年代のことだ。

 当初、彼の発見は無視された。しかし第二次世界大戦と冷戦によって大気の研究が進み、初期のコンピューターモデルによって、カレンダー説の正しさが証明された。1950年代後半には、南極とハワイ、マウナロア山の二酸化炭素が測定され、その濃度が上昇していることが公式に確かめられた。・8. 古気候学者は過去を覗き見る


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 数千年あるいは数百万年単位の気候パターンを理解しなければならない気候学者だが、人工衛星などによるデータではせいぜい数十年しか遡れない。船による天気の記録なら数百年は遡れる。さらに過去へ遡りたいのなら、サンゴ・木の年輪・氷床コア・化石といった自然環境に残された手がかりを使う。それが古気候学である。

 古気候学において重要なツールの1つが、海底や湖底から採取された堆積物コアだ。ここには塵・花粉・鉱物・貝殻などが層を形成しており、地質時代ごとの大気温・水温・潮流・風・海洋の化学組成といった情報が含まれている。

 また氷にも、気泡・塵・火山灰・森林火災の煤といった膨大な情報が含まれている。北極や南極の氷床コアからは大気中のガス・空気や水の温度・過去における大規模な融解の痕跡を窺うことができる。そうしたデータにおけるパターンから、今日世界で起きている急激な温暖化の理解を進めることができる。
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