世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第215回 ブレグジット以降の世界 (2/3ページ)
EU側がイギリスに反発し、「イギリスはEU離脱のダメージを受け入れろ!」などとやったところで、痛み分けになるだけの話だ。
EUから離脱したイギリス国民は移民制限が可能になり、ブリュッセルのEU官僚から妙な法律を押し付けられることもなくなる。EU側は対英貿易黒字が減らず、シティの対欧投資もこれまで通り。何の問題があるのか、という話なのだが、グローバリズムに支配されたマスコミでは「イギリスの強硬離脱は、英国民の生活に多大なる痛みを与える」系の報道が繰り返され、ハード・ブレグジット(強硬離脱)が危険であるとの論調で満ち溢れている。
ハード・ブレグジットとは、もちろんイギリスの離脱派を危険視し、国民を煽るために開発されたレトリックだ。現実には、イギリスのEUからの離脱は淡々と行われ、ハード・ブレグジットとやらにはならない。
もっとも、あまりにも容易にイギリスがEUから離脱してしまうと、他の離脱予備国の背中を押す可能性がある。というわけで、EU側はイギリスとの交渉で強気で挑むのだろうが、現実には英欧が共にWinWinになる形で決着するだろう。
繰り返すが、究極のグローバリズムと究極の保護主義との間には、無限のバリエーションがある。各国は、無限のバリエーションのどこが「自国に適した位置」なのか、「良識」に基づき模索しなければならない。適切な位置は各国の文化、伝統、歴史、ライフスタイル等によって異なる。
「アメリカがここまでグローバル化しているのだから、日本も」
といった論調は、成り立たないのだ。日本とアメリカは「違う国」である。違う国である以上、「良識」が異なるのは当たり前だ。
良識のメトリクス(物差し)は、具体的には「安全」「安保」「安定」という「三つの安」になる。ちなみに、安保とは「安全保障」の略であり、安全がかぶってしまうが、本稿では、
「安全は、ミクロな製品やサービスの安全性」
「安保は、国家全体、国民全体にとっての安全保障」
と、定義している。
例えば、「モノの国境を越えた移動の自由」というグローバリズムを進めたとしても、
「農産物の安全基準については、自国で決める。