【鹿毛康司の就活本音対談】#3 ドミノ・ピザジャパン富永朋信「わからなければ、まず動くことが大事」

就活スタイル

「消臭力」や「米唐番」といった個性的なCMを次々に生み出してきたエステー株式会社の宣伝部長・鹿毛康司さん。そんな鹿毛さんがさまざまな業界の著名人をゲストに招き、「学生の悩み」に答える本企画。3回目となる今回で、ドミノ・ピザジャパンのCMO(チーフマーケティングオフィサー)・富永朋信さんとの対談は最終回です。最後にどのようなメッセージを学生に伝えてくれるのでしょうか。就活を控える学生のみなさんは、必見です!

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何をするかわからないのならとにかく勉強しろ!


●広報や宣伝、企画などに興味があるが、経験もない上にマーケティングなどの勉強もしたことがありません。来年に就活を控える私は何から始めるべきでしょうか。(女性/20歳/大学3年生)

鹿毛さん:まずこの質問にはね、「広報」と「宣伝」と「企画」は全く違うもの! っていうのを言いたい。本気でその道に進みたいのなら、この3つがどういう仕事であるのか勉強しないとだね。

それに「興味があるが、経験もない」って言っているけど、興味と経験の間にある「研究」が抜けているよ。興味⇒研究⇒経験なんだよ。何から始めるべきでしょうかについて、まず興味があるなら研究しなきゃいけない。

富永さん:マーケティングなどの勉強をしたことがないのなら、とにかく勉強すればいいってことですよね。

鹿毛さん:マーケティングの本10冊でもいいから読め! ってことだね。俺らだってたくさん本読んでるんだから。富永さんもそうでしょ?

富永さん:めちゃくちゃ読んでますね。ジャンル問わずだとこれまでに数千冊は読んでいるんじゃないでしょうか。マーケティングの本に限れば数百冊は読んでますね。

鹿毛さん:うん、俺もそうだな。とにかく毎日本は読んでいるよ。

富永さん:書店に行くとするじゃないですか。そこでマーケティングの本の棚を見て、知らない本があると不安になったりしますよ(笑)。「ヤバイ!」と思って買って、知っている内容なら安心して、知らない内容ならそこまでまた勉強です。

鹿毛さん:買っちゃうよね。俺も去年1年間でマーケティングの本だけで14万円も使っているもん。MBAを持ってるおっさんやマーケティングの最前線に立っているおっさんも、毎日忙しいのにまだ毎日知識を得るために本を読み、寝る間を惜しんで勉強してるんだよ。だからね、学生は時間があるんだから、本が買えないなら図書館に行ってでもたくさん本を読んで勉強するといいよ。図書館に読みたい本がないのなら俺が貸してやる!

●お二人が今就活をするとしたら、どのような企業に入りますか? また、今の会社に入りたいと思いますか?(男性/21歳/大学3年生)

鹿毛さん:そうだなあ……「今」ということなら希望のお給料出してくれるところに入るかな。つまり俺たちの価値を分かってくれている企業。そういうところがいい。どう思う?

富永さん:たしかに自分のことを認めてくれる、自分の価値をわかっている企業がいいですね。

鹿毛さん:もし「仕事しなくても今と同じくらいの給料出すからうちの会社に来てほしい」って言われたらその会社に行く?

富永さん:それは行かないですよ。今やっていることは仕事ではありますけど趣味でもありますし、いわば人生そのものでもあるので、それが取り上げられるようなところには行きたくありませんね。

鹿毛さん:でも「仕事=趣味=生き甲斐」って言うと、「仕事人間かよ」なんて思われたりしない?

富永さん:「趣味」っていうのは、お金にならない道楽なんですよね。でもそれが高じてお金がもらえるようになれば最高じゃないですか。つまり私にとって仕事というのは趣味を極めているのと同じなんです。趣味って人によっていろんな定義があると思いますけど、仕事が趣味ということに対して「仕事人間」という人は、だいたい趣味を極める必要もない軽いものと考えていたりします。そういう人に批判されても、何とも思わないですね。

鹿毛さん:趣味って基本的に自分を喜ばせることだけど、仕事って他人を喜ばせることなんだよね。昔はあまり思わなかったことなんだけど、この10年で特に「社会に喜ばれて生きること、感謝されて生きること」の良さを実感するようになった。

特に印象深いのが、5年前に西川貴教さんの福島でのコンサートでCM撮影をしたときのこと。撮影のためにミゲルと一緒にステージに立った後、そこから降りて会場横を抜けて帰ろうとしたのよ。そしたら会場の2,000人がみんなこっち向いて「部長ありがとう~!」って言ってくれてね。西川貴教さんがステージにいるのにもかかわらずだよ。そのとき「本気でありがとうって思われるのは幸せだな」って思ったね。西川貴教さんは「おいステージはこっちだぞ!」って突っ込んでたけど(笑)。

楽しさも自分が決めること!


●サークルやアルバイトなどはほとんどやっておらず、学業に専念していたので大学の成績はいいのですが、勉強しかやっていないと就活は難しいのでしょうか。(男性/22歳/大学3年生)

富永さん:うん、勉強しかやっていないのはいいことだと思いますよ。ただ勉強しかやってこなかった人がこういう質問をしてくるのは意外ですね。

鹿毛さん:お、どういうこと?

富永さん:勉強をしっかりやってきた人は、自分の知識なり知見なりモノの見方にある程度自信を持っていると思うんですね。「自分はこれだけやってきたんだからそれなりのものになっているはず」というものが。でもこうした質問が来るってことは、就職状況が相当厳しいのか、本当は勉強していないのか……。

鹿毛さん:いや、勉強したと思うよ。でも勉強ばかりで社会人と接することがなかったり、社会を知る機会がなかったりして、「このままでいいのか」と感じているんじゃないかな。

富永さん:なるほど。そういうこともあり得ますね。

鹿毛さん:俺はマーケティングの講師もしていて生徒に言っているんだけど、マーケティングの理論だけ勉強していても世の中通用しないんだよ。もちろん勉強することは大事で、学ぶことは物事の近道にもなるし、物事の確率を上げる手段にもなるし、人と会話するための知識にもなる。でもそれだけじゃ駄目。もしこの質問をした学生が、勉強をしっかりした上で、学業だけでは世の中解決しないことをわかっていて、他の何かを欲しているなら見込みあるね。

富永さん:鹿毛さんならこの子にどんなアドバイスをしますか?

鹿毛さん:勉強では学べない、社会で通用する経験や知識や勘というものをどうすれば学べるか、これはもう「いろんな人に会う」しかないんだよ。

富永さん:あともう一つ言いたいのは、勉強以外のこと、サークルやアルバイトをやっていないことは全くマイナスになることではない思います。そこに使えた時間を勉強に費やせたということは、賞賛すべきことです。勉強しかやっていないことで自己否定することはないです。「胸を張りなさい」と言いたいですね。

●仕事って楽しいものなんでしょうか。つらいものなんでしょうか。お二人は、今のお仕事は楽しいですか?(女性/21歳/大学3年生)

鹿毛さん:仕事は楽しいよね。

富永さん:もちろんつらいこともありますけど、そのつらさがあるから楽しいとも思えますね。

鹿毛さん:仕事なんてみんなそうだよ。つらくない仕事なんて絶対楽しくないよ。スポーツだってつらさがあるから楽しいんだから。つらいからこそ「充実」や「達成感」を感じて楽しくなるんだよ。

富永さん:「やった!!」っていう達成感を味わえるならその3倍くらいのつらさは我慢できますね。

鹿毛さん:俺は最近10倍までは我慢できるようになったよ(笑)。

富永さん:その「やった!」っていう瞬間は、一瞬なんですけど得も言われぬものなんですよね。そしてまた次のゴールというか、達成感を味わうためにつらいことを乗り越えていく、これが仕事です。

鹿毛さん:でも結局「楽しい」と思って仕事をすればどんな仕事だって楽しいんだよ。楽しくない仕事の仕方をすればどんな仕事でも楽しくなくなる。俺は「仕事を楽しむ」っていうのが主義だから。そうしないともったいないし。「幸せは自分で決めるもの」って誰かが言ってたけど、楽しさも自分で決めるものなんだよ。

何もわからないなら何でもいいから動きなさい!


●面接やESでどうやったら「自然な自分」を出すことができるのでしょうか。どうしても取り繕ってしまい、自分の良さを出せません。(女性/24歳/大学院生)

富永さん:これは「うまくやろう」と思う気持ちを捨てることじゃないでしょうか。

鹿毛さん:でもやっぱり怖いんだよ、失敗することが。だから開き直れない。

富永さん:面接でも恋愛でも友達関係でもそうですけど、「素の自分でやったほうがいい」ってことは多いんですよね。でもなかなかラーニングができない。大学生ぐらいだとさっきの恋愛とか友達関係とか全てのエレメントが中途半端なことがままあって、感覚的に理解することが難しいと思います。「自然な自分」を出すことの重要性を分かっているこの質問者はなかなかいいセンをいっているんじゃないでしょうか。

鹿毛さん:うん、そうだね。わかっているのは大きなことだよ。でも出せないんだよね。誰しもコンプレックスや弱いところがあって、そこは突かれたくないわけだよ。なら全部出さなくてもいいんだよ。出すべきところは出してもいいけど、出したくない部分は出さない。もしその部分について聞かれても、「そこは考えていませんでした」「それはわかりません」って素直に言えばいい。

ただ出さない領域が9割だったら駄目だけど、3割くらいだったらまだ相手も許せる。だから、自分の良い部分をどこまで相手に出せるか、そしてどこは出さないかをしっかりと決めること。でも取り繕うために「自分を作る」ことは駄目だよ。

富永さん:これは深い質問ですよね。この人には会って話をしてみたいですね。

●自分が何をやりたいのか、あまり希望がなく自分でもわからない状況なのですが、どう考えればやりたいことや志望業界が決まるのでしょうか。また、決まらない場合はどのように就活を考えたらいいですか?(男性/20歳/大学2年生)

鹿毛さん:うちの息子がまさにこんな感じ。質問者はまだ2年生だからもう少し時間はあるけど、就活が目の前の大学3年でもこういう子いっぱいいると思うよ。自分なりに考えているんだけど、考え方がまだ自分ごとじゃないというか、本気で頭を使って考えれてない。どうすればいいかな?

富永さん:例えばですけど、たくさんある電車の中吊り広告の中からどれか一つを選びます。そして選んだ中吊り広告について、なぜこんな広告の作りをしているのか、どういった意図で作られたかなどを、制作者に感情移入して考えなさい、と。「考えること」を自分に強制することで、もしかしたら興味を引き付けるもの見つけることができるかもしれないです。やっぱり自分で興味があることに真剣に向き合い、考えることができるならこうした質問はしないでしょうし、そうでない人は何でもいいからやってみて、幅を広げるべきですね。

鹿毛さん:とりえず試しにエントリーシートを書いてみるのはどうかな? 自分自身のことを書いているうちに、何か見えてくるかもしれないし。

富永さん:人を好きになるのも、会って話してどういう人か知ることで次第に好きになっていくことが多いと思います。鹿毛さんも言っていますけど、やっぱり就活でもいろんな人と会い、話をすることで興味を持ったり、好きになるんだと思います。

鹿毛さん:そうだ。そういうことだ。恋愛もいろんな人に会わないと、自分に合う最高のパートナーなんて見つけられないよ。さっき就活で何を始めればいいのかわからないという質問があったけど、それと同じでとにかくやってみること。会ってみる、話してみる、読んでみる、とにかく動きなさい!

悩める学生に対しての「愛のある説教」が数多く飛び出した鹿毛さんと富永さんの対談ですが、残念ながら最終回です。今回登場した「何をすればいいのかわからない」という質問は数多く寄せられていましたが、やはり「何でもいいから動くこと!」はとても大切ということです。同じように悩んでいる学生のみなさんは、わからないなりにまず1歩踏み出してみてはどうでしょうか? そこから進むべき道が見えてくるかもしれませんよ!

プロフィール


鹿毛康司(カゲ コウジ)
エステー株式会社 執行役 エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター。
福岡の田舎町で育ち2浪の末、奇跡的に早稲田大学商学部に合格。下手くそなアマチュアバンドをやりながら大学生活を過ごす。卒業後 なぜか大手の食品会社にはいり営業活動をするも非エリートとして扱われ、人生最大の決意でアメリカのMBAをとりにいく。最大の決意とは「ただひたすら勉学に励む」ということだった。42歳で転職し、何故か勝手にクリエイターになってエステーCMの父となる。震災後に日本を応援したと必要以上に感謝され2012年CMクリエイティブの最大の賞であるACC賞GOLDを受賞した。ミゲルありがとう。

富永朋信(トミナガ トモノブ)
ドミノ・ピザジャパン株式会社執行役員 チーフマーケティングオフィサー。
日本コダック(現コダック)、日本コカ・コーラ、ソラーレホテルズアンドリゾーツ、西友などでマーケティング関連の職務を歴任。ソラーレ以降はCMOとしてマーケティング部門を統括。日本コカ・コーラではiModeでコカ・コーラが買える自販機システム「Cmode」の立ち上げを担当。それ以来、「購買=ブランド選択+チャネル選択」という式の解を模索し続けている。西友では同社のイメージを一変させるキャンペーンを連発した。ブランドの構造はカテゴリによって違うことに気付き、全てのカテゴリのブランド構築に対応できる方法の開拓に頭を悩ませている。座右の銘はたくさんあるが、今のお気に入りは「過ぎたハンサム休むに似たり」「渾身のアイデアは全てを解決する」。

(中田ボンベ@dcp)

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