天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 安倍晋三・昭恵夫人(下) (2/2ページ)

週刊実話



 そして、“爆発”の三つは、名門政治家の一族として、跡を継ぐ子供に恵まれなかったプレッシャーから来る重圧と孤独感があったと思われる。昭恵はこれについて、おおむね次のように告白している。
 「政治家の家ですから、たしかに私自身に物凄いプレッシャーはありました。不妊治療も受けたし、主人と養子という選択肢も話し合いましたが、私はそこまで割り切れず、またきちんと育てる自信も持てずで実現はしませんでした。主人が総理大臣になったことも、子供に恵まれなかったことも、すべて運命であり、それを受け入れるべきだと考えている」(『文藝春秋』平成18年11月号)

 ここでは、一方で「政界のゴッドマザー」として知られる安倍の実母・洋子(岸信介元首相の娘・安倍晋太郎元外相の妻)の存在が顔を出す。前出の政治部記者の弁。
 「安倍夫妻と同居する洋子未亡人は、昭恵夫人に対し『あなたの一連の不知な行動で、どれだけ首相としての晋三が苦しんでいるのか分かっているの』など、相当キツイ言葉で叱責したとされている。最近では、安倍に対しても『こんなことでは総理として恥ずかしい』と、夫婦関係を絶望視したような発言もあったようです。しかし、安倍本人は『昭恵には助けてもらっている』とカミサン擁護、“助け舟”に腐心中だと言います」

 こうした昭恵夫人は、海外からどんな目で見られているのか。米誌『ニューズウィーク』は第1次政権の後半当時、「安倍政権の秘密兵器」として、次のように評したものだった。
 「日本の政治家の妻は愛想よく、“夫に三歩下がって従う”というのが慣例だったが、(昭恵夫人は)洗練されたファッションセンスや不妊治療の告白などで国民の人気を得、支持率低下に苦しむ安倍政権を支えている。(逆に夫人の言動が注目を集めるのは)日本人女性の社会的地位の向上が、まだ完全でないことの証左である。ただし、(昭恵夫人は)生まれながらのセレブゆえ、安倍政権が目指す社会格差の解消といった政策にはマイナス効果もある」

 一方で安倍は、只今、昭恵という「猛妻」を味方に置き、“右舵”一杯を切り続けて長期政権をバク進中だ。「支持率のために政治をやっているのではない。戦後、後回しにされてきた改革をやらねばならない」と今後の憲法改正にも意欲十分、メゲるフシはまったくないのである。
 19世紀、一世を風靡したドイツの哲学者ニーチェは、ホトホト言っていた。「女は謎だ」と。安倍サンならずとも、「猛妻」に振り回されているわがダンナ衆ご一同も少なくないのではないか。=敬称略=
(次号は吉田茂・雪子夫人)

小林吉弥(こばやしきちや)
早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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