ジャーナリスト・森健が突きとめた、名経営者・小倉昌男の「素顔」と「失敗」(後) (1/3ページ)

新刊JP

『小倉昌男 祈りと経営 ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの』の著者、森健さん
『小倉昌男 祈りと経営 ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの』の著者、森健さん

第22回小学館ノンフィクション大賞、ビジネス書大賞2017・審査員特別賞、そして第1回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞と、トリプル受賞という偉業を成し遂げたジャーナリスト・森健さんの『小倉昌男 祈りと経営 ヤマト「宅急便の父」が闘っていたもの』(小学館刊)。

さまざまな方面から絶賛を浴びる本書は、“宅急便の父”として謳われる元ヤマト運輸社長の小倉昌男(1924-2005)の知られざる素顔に迫る一冊であり、ある意味内容はスキャンダルともとれるものである。

「理の人」「厳しい」というイメージの強い小倉昌男だが、彼が抱えていた家族の問題を通して見てみると、そのイメージはガラリと変わる。そして、46億円の私財を福祉活動に投じたという事実の本当の意味が見えてくるだろう。

森さんがこの取材の中で見つけたものとは。インタビュー後編をお伝えする。

(新刊JP編集部/金井元貴)

■普遍的な一人の父親として「小倉昌男」と、彼の「失敗」とは? ――インタビュー前半の最後に、「気が弱い」小倉昌男像が正しかったとおっしゃいました。それはどの部分からそう感じたのですか?

森:この本の核心部分に少し触れますが、家族の中の彼の存在ですね。彼は家族に対して父親らしい振る舞いができなかった。そこに忸怩たる想いがあったのだと思います。だから「気が弱い」と自分でエッセイに書いていた。

――確かにこの本を通して、経営者ではなく一人の人間、父親としての小倉昌男を窺うことができました。

森:私も彼の本当の姿を見て、「でも人間ってこうだよね」と思えたんです。ビジネスマンとしての顔、一家の大黒柱としての顔、いろんな顔があります。もちろん、もっとドラマチックに描くことも可能だったでしょう。でも、少し視点を広く持つと、彼と同じことに悩んでいる人は少なくないはずです。だとすれば、「小倉昌男はこんなに大変な人生を歩んでいた」と大げさに記述するのではなく、普遍的な一人の人間としての彼の姿を描くことで、自分にも通じる何かがあるように感じてほしいと思いました。

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