中国アスリートは共産党の傀儡?卓球総監督解任に隠された怖い話 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

 今回の事例に限らず、中国のスポーツ関係者の運命は政府の都合で左右されます。例えば中国のアスリートが五輪や国際大会で好成績をおさめた際、「中国共産党に育てられて感謝しています」といったニュアンスの発言を行うことが半ば義務づけられています。

 特に中国のお家芸である卓球はその傾向が強く、金メダリストたちは英雄として国家の宣伝に使われる一方、成績が残せない選手は黙殺されます。さらに上述の3選手のように金メダリストですら、国家に反逆したとみなされた場合は、容赦なく懲罰が与えられるのです。

 劉氏の退任は、中国の政治家の権力闘争が原因だと推測されています。17年秋季、中国では国会にあたる全国人民代表大会が開幕するのですが、その際、多くの人員変動が行われます。

 現任の国家体育総局副局長である蔡振華氏は、劉氏や現在の卓球女子コーチである孔令輝氏を抜擢した人物であるため、中国国民から絶大な支持を受けています。この事実を受け、自らの地位が脅かされることを恐れた現認国家体育総局局長である苟仲文氏は、蔡氏の功績を抹消するために劉氏を解雇しました。

 国家による育成プロジェクトの結果、中国からは一流アスリートが数多く排出されています。しかし、彼らは政府にコントロールされた存在にすぎません。中国が民主化した時、アスリートたちは本当の栄光を手に入れるのでしょう。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。

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