秋津壽男“どっち?”の健康学「不整脈と狭心症で危険度に違いは?狭い血管もカテーテル手術で治療可能」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「不整脈と狭心症で危険度に違いは?狭い血管もカテーテル手術で治療可能」

 運動不足解消でランニングをする人も増えていますが、ふだん運動をしない場合、息苦しさを感じることがあります。この時、気になるのが不整脈や狭心症です。同じ心臓疾患の両者を比べた場合、危険なのはどちらでしょうか。

 不整脈はその名のとおり「心臓の速さやリズムが乱れる病気」で、症状のレベルとして三段階に分かれます。いちばん怖い「致死性不整脈」の場合、発作が起こると心臓が血液を送らなくなり、数秒で意識を失って死に至ります。これが「命に関わる不整脈」です。この際に、心臓にAED(自動体外式除細動器)による処置が間に合えば心臓が動き始め、一命を取り留めることになります。

 今年2月、18歳で亡くなった「私立恵比寿中学」のメンバー、松野莉奈さんの死因が致死性不整脈でした。 死には至らないまでも重症になりうる不整脈が心房細動です。心房細動は即死せずとも脳梗塞を併発しやすく、非常に怖い病気です。

 以上の二つは命に関わる不整脈ですが、致死性でも重症でもない「軽い不整脈」の場合、基本的に治療はしません。なぜなら不整脈の薬は心臓に負担をかけるので、心室細動や心房細動でないかぎり、うまくつきあっていくことが重要となるからです。

 ちなみに、不整脈には目安があります。安静時、人間の心臓は1分間に50~100回ほど脈を打ちます。1秒1拍として1日に約10万回ですが、このうち不整脈が3000回を超えるかどうかが一つの目安になります。3000回以下だと治療しないというのが医師の判断基準です。

 例えるならば、新品の時計の時刻は正確ですが、40年~50年も使っていれば少しずつ時計の針はズレていきます。このように、脈とは心臓の時計であり、ズレ方が「差し支えない程度であるか否か」が、不整脈の危険度を測る鍵です。

 一方、狭心症とは心臓の冠状動脈に血液が行かなくなり、心筋が酸欠状態に陥ることで起きる病気です。全身に血液を送り続けているポンプの働きを果たしている心臓に、酸素や栄養を送り込むのが冠状動脈です。この冠状動脈に動脈硬化が起こると、供給される血液量が減少し、心筋が酸欠状態となり、胸が痛くなります。これが「狭心症」の正体です。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「不整脈と狭心症で危険度に違いは?狭い血管もカテーテル手術で治療可能」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2017年 8/10号“どっち?”の健康学狭心症秋津壽男不整脈カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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