秋津壽男“どっち?”の健康学「虫に刺されることで起こるアレルギー反応。アナフィラキシーショックには個人差がある」 (1/2ページ)

アサ芸プラス

秋津壽男“どっち?”の健康学「虫に刺されることで起こるアレルギー反応。アナフィラキシーショックには個人差がある」

 毎年、夏になると、虫刺されに悩まされる人も少なくないでしょう。最近では、南米原産のヒアリの上陸が報じられていますが、ここでお題です。虫刺されで、蚊とアリのどちらが怖いでしょうか。

 蚊は人間の血を、吸血管と呼ばれる細い管を使って吸います。人の体は、酸素や栄養分を体の隅々まで運んでくれる大事な血液を失わないように、酸素に触れると血が固まります。その血を蚊が吸っている間に固まらないよう、蚊自身の唾液を入れて吸います。この唾液により血の凝固反応が防がれ、血を吸い終わった時に管をすばやく抜き、すぐに逃げられるようにできています。

 一般的に蚊に刺されるとかゆくなりますが、これは「即時型反応」という症状です。

 また、蚊の唾液にすぐ反応しない場合があります。そうしたケースは「遅延型反応」と呼ばれ、蚊に刺されて数時間後にかゆみや腫れが出ます。幼児に多く見られ、これを小児ストロフルスといいます。多くの場合は成長の過程で蚊に刺されることで、体内免疫ができて「即時型反応」に変わっていくのです。

 俗説では「蚊が好む血液がある」と言われていますが、実際に科学的にも証明されています。それは血液型により異なります。刺されやすいのはO型で、次にAB型、B型ときて最も刺されにくいのはA型です。

 とはいえ、誰も蚊に刺されたくないというのが本音でしょう。蚊に刺されないためには、蚊は汗に反応するので、汗はしっかり拭きましょう。お酒を飲んだあとは体から発する二酸化炭素の量が増えるため、蚊に刺されやすくなります。扇風機をかけることで、二酸化炭素が拡散して蚊が集まりにくくなります。他にも、黒い服を着ていると蚊が寄ってきますので、白い服を着たほうがよいでしょう。

 蚊に刺された場合、かけばかくほどかゆくなります。5分も冷やせばかゆくなくなりますので、薬を塗るより、氷や保冷剤を当てることをオススメします。

 現在の日本では蚊はさほど怖い存在ではありませんが、海外では状況が大きく変わります。蚊が媒介となってマラリアやデング熱などの感染病にかかる場合があるからです。渡航前に現地での流行状況を把握しておくことが大切です。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「虫に刺されることで起こるアレルギー反応。アナフィラキシーショックには個人差がある」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2017年 9/21号ヒアリ“どっち?”の健康学アナフィラキシーショック秋津壽男社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る