ビートたけしの名言集「湯治に出かけた『怪しい温泉場』の思い出」 (1/2ページ)

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ビートたけしの名言集「湯治に出かけた『怪しい温泉場』の思い出」

 13年ほど前、いたって健康体な殿と、「物は試しで」と、秋田の温泉場に、湯治を目的とした3泊4日のプライベート旅行を決行したことがありました。危惧したドタキャンもなく、新幹線に乗り込んだ殿は、

「本当に効くのか?」

「どうせお迎えの近い後期高齢者ばっかりだろ。まー俺も十分高齢者だけどな」

「そーいえば、俺は年金もらえるのか?」

 等々、上機嫌で、行きの車中、寝ることなく、じょう舌にしゃべっていました。

 電車と自動車に揺られて約4時間半。圧倒的山奥のさらに奥に目的の温泉場はあり、モクモクと湯気がたちこめる中、1軒だけある旅館は1年先まで予約が取れないため、高齢者たちがその旅館の周囲にテントを張って湯治に来ている光景は、“あの世の入口”を連想させ、見た目一発で引きつけられる、なかなか幻想的な温泉場でした。地熱が高い岩場にゴザを敷いて、静かに湯治にいそしむ高齢者の姿を目にした殿は、

「いいな! もう姥捨て山だな。あのまま干からびて立派なミイラになるんだろうな」

 と、さっそく得意の毒ガスを炸裂させていました。

 で、旅館にチェックインして早々と湯につかると、

「これは効きそうだな。帰る頃にはきっとあそこの皮がズルむけになってるな」

「タマキンがでかくなりすぎてよ、帰りの新幹線は子供一人分の追加料金を請求されるな」

 等々、“効きそうだが、何だか怪しい”といった感想を漏らすのでした。

 しかし2日目の朝、湯につかった殿は、

「でもあれだな。昨日より何か体の調子がいい気がするな」

 と、お湯の効能を信じる発言をつぶやきだしたのです。この時、〈ずいぶん早く効くな〉と、わたくしが心の中でツッコんだのは言うまでもございません。

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