報復は国も宗教も関係ない普遍的なもの オマル・エル=アッカドインタビュー(1) (1/3ページ)
出版業界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』。第93回目となる今回は、デビュー作『アメリカン・ウォー』(上下巻/新潮社刊)がアメリカ国内で評判となり、邦訳版が発売、そして初来日を果たしたオマル・エル=アッカドさんが登場してくれました。
『アメリカン・ウォー』は2070年代から2080年代という近未来のアメリカを舞台にしたディストピア小説。化石燃料の使用禁止に反発した南部三州と北部州の間で勃発した「第二次南北戦争」に翻弄される主人公サラットと南部の人々が骨太な筆と巧みな構成で描かれます。
続発するテロや拷問、武装組織に強く惹かれる若者たち…。デビュー作にしてコーマック・マッカーシー『ザ・ロード』と引き比べられるほどの傑作『アメリカン・ウォー』がどのように生まれたのか。オマルさんにお話をうかがいました。(インタビュー・記事/山田洋介、撮影/金井元貴)
■報復は国も宗教も関係ない普遍的なもの ――オマルさんはこれまでジャーナリストとしてキャリアを重ねてきました。『アメリカン・ウォー』のお話をうかがう前に、今回小説を発表した理由についてお聞かせ願えますか。オマル:ジャーナリズムでは答えが出せなかったり、ジャーナリズムの方法では表現できない問題を突き詰めたいと思ったんです。
一人の人間がどんなふうに過激派的な思想を持つのか、そしてどのように過激な行動に及ぶのかといったことには決まった答えがありませんし、個人の内面のことですからジャーナリズム的な手法では表現できません。となると、ノンフィクションではなくフィクションの形をとって探索するしかない。それが今回小説を書いた一番の理由です。
――アメリカで起きた「第二次南北戦争」を舞台に「報復の連鎖」が大きなテーマとなっている小説です。このテーマを選んだ理由はどんなところにありますか?オマル:「報復」は今の世界にひとしく蔓延している、ある意味普遍的なものです。その国や場所によって宗教も文化も違いますが、どのように報復を誓う気持ちが生まれるかというのは、おそらく皆同じでしょう。