世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第248回 人手不足と人件費 (2/3ページ)
もし、金融政策の影響だというならば、
「なぜ金融政策をすると、生産年齢の男子という主力の働き手の仕事が減るのか?」
という問いに、答えてもらう必要がある。人口の瘤である団塊の世代が生産年齢人口から離脱し、それを埋めるだけの若い世代が労働市場に参入していない。それ以外の説明ができるならば、是非、披露してほしいものだ。
それはともかく、過去の日本の雇用改善は、フルタイム雇用から短期雇用への切り替えにより生じたものである。すなわち、国民の賃金は上がらない(むしろ、平均では下がる)。とはいえ、さすがに人口構造の変化(生産年齢人口比率の低下)の圧力はすさまじく、人件費にもプラスの影響を与えつつある。
宅配便最大手のヤマト運輸は、インターネット通販繁忙期(12月)を控え、運転手について一部の地域において時給2000円で募集を始めた。また、Amazonジャパンも、倉庫作業について時給1850円を提示している。
人口構造の変化を受けた人手不足は、ついに「時給」にまで大きく影響を与え始めているのである。これは、もちろん日本国の国民経済にとってはいいことだ。人手不足による賃金上昇。真っ当な動きが、運送サービスから起きているのである。ヤマト運輸にしても、Amazonジャパンしても、人件費上昇を「サービス単価」にきちんと反映してほしい。そうすることで、中小の運送業者も追随することができる。
ところで、人手不足を報じる新聞報道は、外食産業における時給引き上げの動きについても伝えている。例えば、日本経済新聞は、
『特に厳しいのが忘年会や新年会を迎える居酒屋業界だ。「備長扇屋」などを運営するヴィア・ホールディングスは12月のアルバイトの平均時給を約1000円と、同社としては過去最高額を提示。前年同月比で約2%上昇するが、「人が集まらないとかきいれ時を乗り切れない」としている。
チムニーも12月のアルバイトの時給は前年同月比で1%超高い平均1100円とする。つぼ八も12月のアルバイトの時給に50円上乗せする』(日本経済新聞 '17年11月15日)
と、報じている。