神社仏閣のプロモ?森鴎外の名作・山椒太夫を生んだ説経節。そもそも説経節とは何? (1/2ページ)
お説教じゃない、説経節ってなに?
森鴎外の名作というと、どんな作品が思い浮かぶでしょうか。
『高瀬舟』『舞姫』、そして『山椒太夫』などが教科書にも取り上げられ有名ですが、本項では『山椒太夫』について紹介していきます。この作品を語るのに欠かせないのが“説経節(せっきょうぶし)”です。

『山椒太夫』が人口に膾炙する文学になった大きな要因と言える説経節とは、どのようなものなのでしょうか。説経と聞くとお説教のように思えてしまい、どこか堅苦しいイメージを抱きがちですが、実は寺社を舞台にした大衆エンターテイメントのひとつでもあったのです。
神社仏閣のプロモーションだった!?この説経節は、仏教の教えに導く“唱導”や仏を称える“和讃”などを取り入れて発達した“語りもの”であり、神仏の縁起などを語った民衆芸能です。成立したのも、日蓮宗、浄土宗、禅宗など民間に広がった新仏教が生まれた中世の我が国で、そうした時代を象徴するにふさわしい芸能でもありました。
説経を行う人は竹の先を細かく割って作った“ササラ”や鉦、後の時代では三味線で伴奏して各地の神社仏閣と、それにまつわる物語を聞かせ、江戸時代からは人形劇などと提携して各地で公演をしました。
山椒太夫では安寿と厨子王が持っていたお地蔵さんが出てくるので、この場合は丹後(今の京都府北部)に伝わる金焼地蔵の縁起にまつわる物語ということになるのです。
つまり説経節は、聴覚だけでなく視覚にも訴えていく、現代のコマーシャルのような役割でもあったところは、どこか親しみを感じますね。
散所?三庄?山椒?さんしょう太夫説経節について紹介したところで、お次はタイトルの由来にして主人公・厨子王丸の仇でもある山椒太夫のトリビアを紹介致します。この超有名な悪役は、丹後の国に広大な農地を持つ長者ですが、実は様々な由来が重なって誕生した存在でもあったのです。