ドイツのクリスマス菓子「シュトレン」の秘密、古都ドレスデンとの深い関係とは? (1/3ページ)
ドイツ風のクリスマスマーケットの定着とともに、日本でもすっかり知られるようになったドイツの伝統菓子、「シュトレン」。
ドイツでは古くからクリスマス前のアドベント(待降節:クリスマス前の約4週間)の時期に食べられており、特にこの時期に売り出されるシュトレンは「クリスマスのシュトレン( Christstollen)」と呼ばれ冬の風物詩となっています。
洋酒に漬けこんだドライフルーツやナッツ、バターをたっぷりと生地に練りこみ、発酵させて焼き上げられたシュトレンは、徐々にフルーツなどの風味が生地に移るため、日数の経過とともにどんどん味が深まっていくのが特徴。
ドイツでは、アドベントの時期に少しずつスライスして、味の変化を楽しみながら食べるという習慣があります。
一般にシュトレン発祥の地は東ドイツ・ザクセン州の古都・ドレスデンといわれ、14世紀にはすでにシュトレンが作られていたといいます。
しかしシュトレンの起源には諸説あり、その原型となったのは1329年にナウムブルクで当時の司教へと捧げられたクリスマスの贈り物であったともいわれています。
「シュトレン(Stollen)」はドイツ語で「坑道」を意味し、トンネルのような形をしていることからその名がついたとされています。独特の形の由来には諸説ありますが、キリストのおくるみを表しているという説が一般的。
今でこそバターたっぷりのリッチな風味が特徴のシュトレンですが、キリスト教の四旬節には乳製品の摂取が禁止されていたため、当時のシュトレンは、水やオーツ麦、てんさいの根の油を使用した淡白なものだったのだとか。
1430年、そんなシュトレンに不満をもったザクセン選帝侯エルンストは、ローマ教皇にバター・牛乳摂取禁止令の撤廃を懇願し、1491年になってバター食用許可証が交付されました。