玉木正之のスポーツ内憂内患「国ぐるみのドーピングをなくす“2つの方法”」 (1/2ページ)

アサ芸プラス

玉木正之のスポーツ内憂内患「国ぐるみのドーピングをなくす“2つの方法”」

 IOC(国際オリンピック委員会)は、ロシア選手団を、来年2月に開催される平昌冬季五輪から締め出すことを決定した。

 これは当然の処置と言える。何しろWADA(世界反ドーピング機構)の調査によると、前回のソチ冬季五輪のときにロシアの全メダル獲得数33の3分に1にあたる11のメダル獲得者からドーピングが発覚。

 冬季競技の他にも陸上競技や重量挙げなど、ドーピング関係選手は33競技1000人以上にも及び、「国ぐるみ」で「違反行為」に手を染めていたことが判明したのだ。

 だから、IOCの処分は少々甘いという声もある。

 プーチン大統領の手足となってソチ冬季五輪の招致に尽力し、大会運営に携わり、その「成功」とロシア選手の活躍(メダル獲得数1位)から副首相に昇進したムトコ・スポーツ大臣を五輪から永久追放処分にしながら、WADAの報告書にある「国ぐるみ」の表現を、IOCは「組織ぐるみ」とワンランク引き下げた。つまりロシア国家と大統領の関与には触れず、ROC(ロシア五輪委員会)とRUSDA(ロシア反ドーピング機構)の「組織ぐるみ」のドーピングとしたのだ。

 これはプーチン大統領と深い関係にあるバッハIOC会長の「忖度」の結果だとの声もある。実際、バッハ会長のことを「プーチンの飼い犬」という人までいて、ほぼ平昌に決まっていた14年の冬季五輪を大逆転でソチにしたのはプーチン大統領の意を汲んだバッハ会長のおかげと言われている。

 そこまでプーチン大統領に協力しながら、ドーピングで裏切られたにもかかわらず、バッハ会長はまだプーチン大統領に気を遣ってか、「国ぐるみ」という言葉を使わず、ロシア選手の「個人参加」も認めた。

 個人参加できるのは過去に一度もドーピング違反がなく、ロシア以外の機関でドーピング検査を受けて「白」と判定された選手だけという条件をクリヤーしなければならない。

 が、プーチン大統領はこの方針を受け入れ、選手の「個人参加」を認めることを表明。大統領の本心は、「やれるものならやってみろ!」と、正反対の気持ちなのかもしれないが、建前としては五輪出場を希望する選手の気持ちに理解を示し、来年の大統領選挙に有利となる「善人ぶり」をアピールすることに成功した。

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