玉木正之のスポーツ内憂内患「国ぐるみのドーピングをなくす“2つの方法”」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

 実際に「個人参加」をするとなると、ROCに代わる手続きはどうするのか? 出国は許可されるのか? 等々、難しい問題があり、ほとんど不可能かもしれない。それにロシアの国営テレビやラジオが平昌五輪の放送中止を決定するなか、欧米の反ドーピング機関の検査を受けて五輪に参加すればロシア国民の反発を買うだろう(リオ五輪で参加を拒否された中、個人参加した女子走り幅跳びのクリシナは、「裏切り者」呼ばわりされ、ロシアへの帰国が不可能となった)。

 今回のロシアの「事件」がどう終結するのか‥‥その先は、まだわからない。が、「国ぐるみ」や「組織ぐるみ」のドーピングをなくすには、二つの方法がある。

 一つは地球上から全体主義的国家や独裁者的支配者をなくすこと。それが難しいなら、オリンピックでの国旗や国歌の使用(民族意識・国家意識の昂揚)を禁止することだ。それが提案されたことも過去にあった。

 1964年東京五輪当時のIOCブランデージ会長が提案し、当時の若き作家石原慎太郎氏も賛成した。

〈民族意識も結構であるが(略)もっと大切なもの、真の感動、人間的感動というものをオリンピックを通じて人々が知り直すことが希ましい〉(1964年11月12日付読売新聞)

 民族(ネイション)とも国家(ステート)とも無関係なスポーツは、いつになったら生まれるのだろう?

玉木正之

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