秋津壽男“どっち?”の健康学「発見が困難な膵臓がんと死因数トップの胃がん。危険因子を排除し、発症リスクを減らすべし」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「発見が困難な膵臓がんと死因数トップの胃がん。危険因子を排除し、発症リスクを減らすべし」

 1月4日、「闘将」と呼ばれた名監督の星野仙一さんが膵臓がんで亡くなりました。がんが発見されたのは16年7月のことです。発見されてから1年半にわたって闘病していただけに、残念でなりません。

 では、今回のお題です。日本対がん協会によると、16年度の部位別死亡数で多いのは、男女とも肺・胃・大腸がんがあげられています。中でも死因数トップの「肺がん」と「膵臓がん」、どちらがより悩ましい病気と言えるでしょうか。

 現代の医学では、肺がんや胃がん、大腸がんは症例数こそ多いものの、早期発見ではほぼ治ります。手術でおなかの切開をしなくても、内視鏡を使った治療法で治せる場合もあります。それに対して、膵臓がんは、発見時に手術可能な状態である場合が3割程度の難しいがんと言えます。

 膵臓は胃カメラや大腸カメラでは届かず、がんの発見がしにくい個所です。内視鏡で直接見ることができず、超音波検査でも消化管の中にガスがたまった場合に発見しづらくなります。

 かろうじて、CTスキャンでは見えるものの、肝臓のような塊ではなく、筋子のようで形が定まっていないため、膵臓に腫瘍があるかが判断しづらいのです。

 加えて胃がんでは胃の痛み、大腸がんでも下痢や血便などの初期症状がありますが、膵臓がんにはこうした自覚症状がありません。膵臓がんと診断された患者さんのうち、12%の人にまったく症状がないとの学会報告もありました。仮に早期発見できても、がん細胞がリンパ節や肝臓など周囲に転移しやすいがんでもあります。発見された時にはすでに、手術が困難な状態となっていることも珍しくないのです。

 また、膵臓がんの手術は技術的にもトップレベルの難しさです。膵臓は、胃や十二指腸、総胆管、胆嚢など多くの器官に隣接しているため、それらを一緒に取らねばなりません。「見つけにくい」「手術しにくい」「切る部位が大きい」などの特徴があげられる、最も怖いがんと言えます。

 最近は手術前に抗がん剤の投与や放射線治療によりがん細胞を縮小させるなどの治療法も研究されてはいますが、これも遠隔転移していると治療できません。

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