秋津壽男“どっち?”の健康学「発見が困難な膵臓がんと死因数トップの胃がん。危険因子を排除し、発症リスクを減らすべし」 (2/2ページ)

アサ芸プラス

まだ完璧な手術方法の確立には至っていないのです。

 そもそも、膵臓は体内の老廃物を、胆管を通して腸に送り込む役割があります。膵臓がんが進行すると、この胆管が詰まって老廃物が腸へ排出されなくなり、胆汁の中にあるビルリビンという老廃物が体内にたまった結果、黄疸が起こります。さらに進行すると上腹部の痛みが重くなり、痛みが一日中続くようになります。膵臓の周囲には多くの神経が張り巡らされており、神経を侵されるために痛みも強くなるのです。

 膵臓がんの危険因子として、膵炎・胆石・糖尿病があります。これらの病気を患うと発症率が高くなり、特に糖尿病の人が膵臓がんになる確率は、健康な人の1.8倍にも上ります。そのほかコーヒーの飲みすぎや喫煙、暴飲暴食、肥満などもあげられます。

 適度に運動をし、肥満を防止しましょう。タバコを吸わず食生活改善をすると、さらにリスクを減らすことができます。また、膵臓がん患者の1割に、家族の中に膵臓がんを患った例があり、膵臓がんの家族を持つ人は、持たない人に比べて危険性が13倍もあるともされています。

 個人的な意見ではありますが、がんの中でも膵臓がんだけは、手術や抗がん剤治療をするよりも、残された時間を充実させたほうがいいと感じています。治療によりクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を犠牲にするその時間を有意義に過ごすほうが‥‥と思わせるほどのがんなのです。

■プロフィール 秋津壽男(あきつ・としお) 1954年和歌山県生まれ。大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をして和歌山県立医科大学医学部に入学。卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコーなどを学ぶ。その後、品川区戸越に秋津医院を開業。

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