高須院長『炎上上等』よんでみた:ロマン優光連載104 (3/5ページ)
「ホロコーストはなかった」という自説でTwitter上で炎上し、サイモン・ウィーゼンタール・センターの要請でアメリカ美容外科学会を除名(高須さんご自身は除名になる前に脱会したとおっしゃってます)されることになったという最大の炎上案件についての言及もなければ、ホロコースト否認論を熱く語る部分も本書にはありません。一番炎上した事件はなかったことになっているのです。
まあ、そんなことを書いた本を出版したりしようものなら、版元に対してサイモン・ウィーゼンタール・センターから抗議が寄せられるのは必至であり、 「マルコ・ポーロ事件」の二の舞になる可能性があるわけですから、そんな記述のある本を出版する大手メディアは多分ないでしょう。フジサンケイグループは右よりとはいいますが、ホロコースト否認とかは右とか左とかじゃなくてトンデモというか、また違う話ですしね。愛国者とホロコースト否認は関係ない話です。まあ、そういうわけで、ホロコースト否認論関係の話が載ってないといっても、出版社側の問題で高須さんが避けたわけではないかもしれませんし、優しい高須さんが版元に迷惑をかけたくなくて泣く泣く削ってあげたのかもしれません。そこは何ともいえませんが、炎上上等と言っても色々限界はあるものです。
高須さんは冗談で言ったことを本気にする人が多くて困っているとおっしゃってますが、この本の中でも「安倍首相は改憲に反対すべき(なんでも安倍首相に反対してるだけの反安倍の人間が改憲派になるはず)」「日本は戦争をもう一度するべき(最近の日本はハングリーさが足りないからダメ。戦争して負ければハングリーになるし、勝てば豊かになる)」といった、多分冗談であろうと思われる主張をされてますが、これらの冗談は冗談だとしても怒る人はいるでしょうね。高須さんは茶目っ気たっぷりの人なので、人の神経を逆撫でするようなことを言って喜ぶ癖がある方だと思われ、単にそういう気持ちからこういう冗談を言っている節はあるのですが、たいがいですよね。稚気溢れる老人が孫相手にイタズラをする様子は微笑ましいものがありますが、影響力の強い裕福な老人が社会に対してそれをやるのは困ったものです。