世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第263回 イタリア総選挙と「国の借金」 (2/3ページ)

週刊実話

イタリア政府は、中央銀行に通貨発行で国債を買い取らせ、負債を実質的に返済してしまうことはできない。イタリア政府は日本政府と異なり、財政破綻の可能性がゼロではないのだ。

 イタリアではローマやミラノの駅前に、日本のお株を奪うかのように「国の借金時計」が設置され、財政破綻を煽り、選挙戦における各党の財政拡大政策をけん制していた。政府の負債対GDP比率について日本、ギリシャ、イタリアを比較すると、左図(※本誌参照)の通りとなる。
 2016年の日本の政府の負債対GDP比率は約239%、ギリシャが182%、イタリアが133%。これらの数字を受け、財政破綻論者たちは、
 「ギリシャは破綻した。日本の状況はギリシャより悪い。日本も破綻する」
 というレトリックを叫び、財政破綻を煽っている。

 小学生でも理解できるはずだが、「政府の負債」が自国通貨建てなのか、共通通貨建てなのか、外貨建てなのかにより「財政破綻」の確率は変わってくる。日本の場合、政府の負債が100%日本円建てであるため、財政破綻の可能性はゼロだ。
 それに対し、ギリシャやイタリアは共通通貨ユーロ建てになる。当然の話として、財政破綻の可能性はゼロではない。何しろユーロを発行できるのは欧州中央銀行のみなのだ。イタリア政府やギリシャ政府は、日本のように「国債を中央政府に購入させる」ことは、少なくとも国家としてはできない。

 また、'12年にギリシャが財政破綻したとき、長期金利は一時的に40%を突破した。年平均でも22.5%である。財政破綻する国は、必ず国債金利上昇に見舞われる。ところが、財務省や政治家、マスコミが「国の借金で破綻する」と騒ぎ立てる反対側で、日本国債の金利は低下を続け、'16年にはゼロ%を割り込んでしまった。
 もちろん、日本の国債金利が低い理由は「国の信認が高い」といった話ではない。デフレで民間の資金需要がなく、政府の国債が銀行などに「飛ぶように売れる」状況下で、日銀の量的緩和政策で市場の国債が不足したためだ。国債金利の低下=国債価格の上昇になる。つまりは、日本は「自国通貨建て国債」の発行が不足しているのだ。元々の国債不足に加え、日銀が国債買い取りで市場の国債を吸い上げてしまっているからこそ、金利が低い。

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