サカクラカツミ「日本文化をエンターテインメントで表現したい」 (1/2ページ)
一丁締めってあるじゃないですか。ヨ~ッ、パンってやつ。
これ、海外公演のときに、デモンストレーションでよくやってみるんですけど、不思議なことに、外国の観客が相手ではうまく合わないんです。たとえばロシアやドバイのお客さんで合わないのなら分かりますよね。でも、海外の日系会館みたいなところで、日系何世のお客さん相手でも、パン、と合わずにパラパラパラ、ってなっちゃう。
でも日本だと、若い人たちでも、全員が合ったりするんです。日本文化の中に、このヨーとパンの間にある、一瞬の無音を取り入れる、独特なものがあるみたいなんですよ。どなたか学者の先生が研究してくれませんかね(笑)。
体の動かし方にも日本独特のものがあります。能楽だとか武道の所作なんかがそうです。空手でいうと、帯の位置がどう動いても床と平行移動するような体の動かし方をするんです。パンチのときも、かかとを上げず、床につけたままスッと送る。
そういう、日本人の根底に知らない間に染み込んでいる、間の取り方や体の動かし方。これが他の国にはない、日本文化の格好良さだと思います。それをエンターテインメントとして表現したいと思っています。
な~んて、今でこそ言ってますが、実は、20代の頃は日本文化なんて大嫌いだったんです。アメリカのヒップ・ホップ(※1)が大好きで、真っ黒に日焼けしてチリチリのパーマをかけて、黒人みたいにしてました。でも、本当にうわべだけ真似してるだけで、なんにも分かってませんでした。
そんな頃、マドンナ・グライムスさん(※2)という、アフリカ系アメリカ人のダンサーに会ったんです。彼女はハリウッドでスタジオを持っている、僕の憧れの人だったんですが、そんな彼女にこっぴどく叱られたんですよね。「私たちが、肌の色が黒いことでどんな思いをしているのか知ってるの」って。
後から調べたら、「これがはたして人間が人間にしたことなのか」ってくらいひどいことを、黒人たちはずっと受けてきたんです。400年近く我慢してきたけど、自分たちのルーツをようやくひとつのカルチャーとして白人文化にぶつけられるものができた。それがヒップ・ホップだったらしいんです。