繰り返される“隠蔽問題” 「自衛隊海外派遣の25年を検証すべき」 (2/5ページ)
――稲田防衛大臣(当時)はどんな人だと思いますか?
布施:これは本にも書いていますが、「こうであってほしい」という願望が先走りすぎて、現実を自分の中で作り変えてしまうところがあると思います。つまり、イデオロギーが強い人ということですね。
誰もが「こうであってほしい」という願望を持っていますけど、僕たちジャーナリストはそこに捉われると危ないということを分かっているので、自分の考えにとって都合の悪い情報も排除せずに、冷静にファクトを積み上げて精査していきます。でも、稲田さんは、ファクトを積み上げて結論を導くのではなく、まず結論が先にあって、それに都合の良い情報だけを採用し、都合の悪い情報は排除してしまう傾向があるように思います。
日報問題が起きている間に、森友問題でもやり玉に挙げられていましたよね。過去に籠池(泰典)さんの弁護士をしたことがあるかどうかで、最初は「ありません」と否定したものの、以前に代理人弁護士として法廷に立ったことがあるという記録が出てきた。これも象徴的な出来事です。
ちゃんと調べてから否定すべきなのに、最初から「ない」と思い込んで否定してしまうから虚偽答弁だと批判される。
稲田さんが辞任しないといけなかったのは、隠蔽問題を通して浮かび上がった「事実を客観的に見ることができない」という人物像が大きかったと思います。このことは国防にとって致命的で、国の安全保障は徹底したリアリズムでなければいけません。主観的な願望が先行すると、「神風が吹く」と信じて無謀な戦争に突っ込んでいった戦前の日本のようになってしまいますからね。それは稲田さんだけの問題ではなく、政権全体に言えることでもありますが。
――辞任する時まで「結果的に全て日報を提出したから隠蔽という事実はない」と言うのも、らしい発言ですよね。布施:本来、開示しなければならない公文書を意図的に開示しなかったのですから、これは隠蔽以外の何物でもありません。結果的に開示したのだから隠蔽ではないという理屈が通ったら、泥棒しても盗んだ品を返せば罪にならなくなってしまいます。