歴史に秘められたニッポンの「陰謀論」を解け!(1)三億円事件とロッキードの二大異聞 (2/2ページ)

アサ芸プラス

事件現場近くの都立府中高校卒業生まで容疑者リストにあがり、同校OBだった歌手の布施明、役者の高田純次まで含まれていた。再び本橋氏が言う。

「私鉄に勤務し、過去に一度、府中工場に仕事で行ったうちの父のところまで捜査が来たほど。さらに大型バイクを持っていた昭島市在住の叔父のところにも捜査が及んだ。いかに警察の捜査が広範囲に及んだかということです(父も叔父もアリバイがあった)。容疑者リストは11万人とも言われます」

 また「複数犯説」もあるが、本橋氏はこれを否定。

「事件現場となった一連のコースは、熟知していれば単独でも十分可能。むしろ1人でやりたくなるコースとでも言おうか。それに複数犯だと、大金を奪ってから気分が高揚し、部外者にそれとなく匂わせる仲間がいてもおかしくない」

 そして、こんな仮説を立てるのだ。

「事件から何年たってもそれらしき情報は漏れてこない。真犯人はギャンブル好きの男による単独犯ではないか。三多摩に点在する競輪、競馬場で散財して使い切ってしまったのか‥‥」(前出・本橋氏)

 世界的な汚職とされたのが、76年に起きた「ロッキード事件」である。米・ロッキード社の旅客機売り込みを巡り、元総理の田中角栄が「5億円の賄賂を授受した」として逮捕。その背景には、いち早く日中国交正常化を成し遂げた角栄をターゲットに、アメリカが失脚させたという陰謀論がある。

 これに対し、角栄の秘書官を務めた小長啓一・元通産事務次官が15年、意外な“真相”を明かした。

「独自の資源外交を精力的に展開したこと。特にフランスとニジェールでのウラン開発と、フランスからのウラン輸入についての交渉。アメリカからは古くからウランを輸入しており、これがアメリカ側を怒らせたことは間違いない」

 いわゆるアメリカの“虎の尾”を踏んでしまったということか。長らく角栄の秘書を務めた朝賀昭氏は、問いにこう答えた。

「田中先生の積極的な資源外交に、いろんな人が『しっぺ返しを食うぞ』とは忠言していた。資源を扱う組織は世界中に相当な数があるが、それでも先生は『やらなきゃいけない』の精神だった」

 それがロッキードにつながったという見方である。ただし、朝賀氏は事件そのものについては否定する。

「先生は『ロッキードなんて知らん、無念を晴らす』と終生、言い続けたし、結果的に有罪ではなく『公訴棄却』という形。これを世の中の人には勘違いしてほしくないね」

 5月4日、角栄は生誕100年を迎える──。

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