離婚した夫が「年金の分割」に応じようとしないときどうする? (1/2ページ)

まいじつ

(C)Ollyy / Shutterstock
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結婚して20年以上たってからの離婚を熟年離婚とすると、例えば2016年の離婚件数21万6805組のうち3万7604組、およそ17%がこれに当たる。

年金制度が改正され、07年4月以降に離婚する夫婦の場合、結婚期間中に夫が支払った保険料分の厚生年金を夫婦で分配できるようになった。これを「年金分割」といい、これによって女性から離婚を切り出しやすくなった側面はあるだろう。

熟年離婚の場合、子どもが独立しているケースでは養育費でもめることもなく、金銭的には慰謝料が大きなポイントになる。ただ、制度が始まって10年以上たっているにもかかわらず、年金分割のことを知らない夫も少なくなく、中には話し合いに応じようとしない人もいるとか。

専業主婦だった女性だと、50歳を過ぎてから正社員として働くのはややハードルが高く、将来的には分割して支給される年金が大きな支えとなる。

社会保障に詳しい都内の弁護士に、年金分割について解説してもらった。

「年金分割には、『合意分割』と『3号分割』という2つのケースがあります。合意分割は、07年4月1日以後に離婚等をして、一定の条件に該当したとき、当事者の一方からの請求で婚姻期間中の厚生年金記録を当事者間で分割することができる制度です。3号分割は、国民年金の第3号被保険者、すなわち、サラリーマンや公務員の配偶者が離婚する際に、08年4月1日以降に支払った保険料については、相手の同意なく、2分の1ずつ分割することができる制度です。請求者の住所を管轄する年金事務所(年金機構)に申請手続きすることで分割可能です」

熟年離婚を考える際は、事前調査を

年金制度は難しいので、もう少しかみ砕いて説明しよう。

夫が会社員で厚生年金、妻が専業主婦という家庭の場合、老後になると、夫には「老齢基礎年金」+「老齢厚生年金」が支給され、妻には「老齢基礎年金」が支給される。ところが、この夫婦が離婚すると、ダブルで年金をもらう夫に比べ、老齢基礎年金だけしか受給できない妻は、当然、老後の生活が苦しくなる。こうした不平等を解消するために作られたのが、離婚時の厚生年金分割制度というわけだ。

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