妹が包丁でお姉ちゃんを!?柳田國男「遠野物語」に伝わるカッコウとホトトギスの昔ばなし (2/3ページ)
姉はよく、おやつにジャガイモを掘ってはこれを焼き、妹と同じ量ずつ分け合って食べていましたが、姉はいつも外側をとり、妹には内側しか与えませんでした。
「お姉ちゃん、あたいにも外側をおくれよ」
「いいえ、あんたは内側をお上がり」
そう言って、姉はいつも外側ばかり、妹は内側ばかりを食べていました。
ジャガイモの内側はちょっと熱すぎて、いつもホフホフ言いながら、食べるのが大変です。
そんな日々が続く中、妹はひとり悶々と考えこみます。
(お姉ちゃんはずるい。あたいには熱くて食べにくい内側ばかりくれて、自分は食べやすそうな外側ばかり食べている)
(もしかしたら、あっちの方が美味しいんじゃ……?)
(お姉ちゃんばかり……許せないっ!)
まったく食い物の恨みは恐ろしいもので、ある日。
いつものようにジャガイモを持ってきてくれた姉を……隠し持っていた庖丁で刺しました。
姉が最期に遺した言葉「……ガンコ……ガン、コ……ガ、コ……」
妹の足元に崩れ落ち、息絶えようとしている姉が、何度もそう繰り返しつぶやいています。
ガンコ、とは方言で「かたいところ(硬処)」を意味しますが、妹はしばらく意味が分からず、血にぬれた庖丁を持ったまま立ち尽くしていました。
すると不思議なこともあったもので、姉の身体が一羽の小鳥に変わるや否や「ガンコ……ガンコ……」と啼きながら、飛び去ってしまいました。
しかし、姉の化けた鳥が飛び去った後も、ずっと「ガンコ……ガンコ……」という彼女の啼き声が、耳から離れてくれません。
