妹が包丁でお姉ちゃんを!?柳田國男「遠野物語」に伝わるカッコウとホトトギスの昔ばなし (3/3ページ)

Japaaan

(いったい、何なんだろう)

(ガンコ……硬いところ……ジャガイモ……)

いつまでもいつまでも気になって、妹はずっと考え続けました。

(ジャガイモの硬いところ……まさか!)

妹は足元に転がっている、姉の焼いて持ってきてくれたジャガイモの外側を、拾い上げてかじりました。

ジャガイモの皮はすっかり冷めきっていて、黒く焼け焦げて、硬くなっていました。

遠野では「庖丁かけ」とも呼ぶそうな

お察しの通り、姉が自分にジャガイモの外側をくれなかったのは、硬くてまずかったからです。

そして、自分にいつも食べさせてくれたジャガイモの内側は、いつもホクホクと柔らかく、美味しかった事にようやく気づきました。

「お姉ちゃん!」

今ごろ自分の愚かさを悔やんでも、姉はもう飛び去ってしまいました。

「お姉ちゃんを殺しちゃった……庖丁かけて(で刺して)殺しちゃった……」

ずっとずっと泣いている内に、妹もいつしか鳥の姿に変わってしまい、「庖丁かけちゃった……庖丁かけちゃった……」と啼きながら、どこかへ飛んでいった。

それで遠野では、今もホトトギスを「庖丁かけ」とも呼ぶそうな。

おしまい。

※柳田國男『遠野物語』五三話より。

終わりに

不如帰(ホトトギス)。

……と、遠野の住人・佐々木鏡石氏の物語るを、柳田國男が書き留めました。

「何も殺さなくても……」とは思いますが、なにぶん浅慮な子供らのこと。

食い物の怨みが大げんかに発展、そんな貧しい時代の話。

次に生まれてくる時は、みんな仲良く、お腹いっぱい食べられる世の中でありますように。

「テッペンカケタカ……たっぶり食べたか……」

「カッコウ……カッコウ……結構……結構……」

山で彼女たちの声を聞くたび、世界中の子供たちが幸せであることを願います。

日本の文化と「今」をつなぐ - Japaaan

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