「埋まっている物語を掘り出して」村田沙耶香・新刊『地球星人』を語る(1) (1/3ページ)

新刊JP

『地球星人』(新潮社刊)の著者、村田沙耶香さん
『地球星人』(新潮社刊)の著者、村田沙耶香さん

出版界の最重要人物にフォーカスする「ベストセラーズインタビュー」。
第103回目となる今回は村田沙耶香さんが登場してくれました。

村田さんといえば94万部を突破した芥川賞受賞作『コンビニ人間』が知られていますが、最新作『地球星人』(新潮社刊)はそれを超える衝撃作。地球は「人間工場」で、人間は繁殖のための道具。私たちが「普通」だと思っている営みが、村田さんにかかれば奇妙で巨大でグロテスクなシステムの回転に思えてきます。

『コンビニ人間』の芥川賞受賞後、どのような道のりを経てこの作品ができあがっていったのか。そして、作家を志したきっかけや本との思い出などについてお話をうかがいました。(インタビュー・記事/山田洋介)

■「小説の先がどうなるのかは自分の手を離れたところにある」 ――村田さんの新作『地球星人』は、『コンビニ人間』で芥川賞を受賞されてから初めての長編です。あれだけ注目された作品の次ということで、何か期するものはありましたか?

村田:特別な思い入れは特にありませんでした。ただ、受賞後に思った以上に忙しくなってしまって右往左往したというのはあります。

私は一つ小説を書き終えた次の日にはもう次の作品を書き始めるので、『コンビニ人間』を書き終えたあとすぐに次の小説に取りかかっていたのですが、受賞後の忙しさが少し落ち着いて執筆に戻ろうとしたら、もうそれは自分が書きたいものではなくなっていたんです。

――執筆の間が空いたことで、ご自身の中でズレのようなものができてしまった。

村田:そうです。やはり自分の考えや発想は日々変わっていくので、その時書きたかったことと、今書きたいことが違ってしまうことがあります。

ただ、その後編集者の方と話して、「長野を舞台に」ということだけ決めたら、一年くらいで書くことができました。

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