「埋まっている物語を掘り出して」村田沙耶香・新刊『地球星人』を語る(1) (3/3ページ)
キャラクター的には『コンビニ人間』の白羽さんを、とても性格を良くした感じに近いかもしれません。
――奈月も由宇も智臣も三者三様、歪んだ家庭で育っています。こういう登場人物でないと表現できなかったことは何だったのでしょうか?村田:登場人物については奈月が起点になっています。私は登場人物を考える時、まず似顔絵を書くのですが、奈月の顔を描いた時に「すごく孤独な子」だと感じました。そして、自分が魔法少女だと思い込んだり、恋を熱烈に妄想したりという行動はその孤独さからくるものなんだというのは、何となく最初からわかっていました。
歪んだ家庭で育った人を書かないと表現できなかった世界だったのかはわかりませんが、この奈月のキャラクターがまずあって、そんな彼女と惹かれあう夫はどんな人なんだろうと考えていくと、彼女とはまた違った形で孤独な人間だったということが後からわかったような感じです。
――書きながら見えてくるものがあった。村田:そうですね。最初から全部決めて書くことはせずに、書きながら設定をいじりつつ進めていきます。どういうラストにするかとか、先のことを決めずに書くのが好きなんです。今回も智臣の性格がもっと悪かった時があったんですけど、それだとあまりうまくいきませんでした。
小説の先がどうなっていくのかは自分の手を離れたところにあると思っています。よく「埋まっている物語を掘り出す」とおっしゃる作家さんがいますが、私もその感覚に近いです。とはいえ、いつも自分の小説は「本当にそんなものが埋まっていたのか?」と言われるとちょっと不安になるような物語なのですが(笑)。
第二回 ■デビューから15年 創作のモチベーションは「知りたい気持ち」 につづく