人生100年時代を健康に過ごすために知っておきたい「口の中」の大切さ (2/4ページ)

新刊JP

それが、江戸時代から昭和初期までは、およそ1440回になりました。昔の日本食を食べている限り、1400回ぐらいは担保されていたのです。

ところが、昭和30年代から、インスタント食品が増え、食の欧米化が始まり、親が総菜をつくらなくなりました。この三点セットが発端となり、現代人が一回の食事で噛む回数は、500~600回に落ちています。これを我々が、「あごの大きさを元に戻すために、噛む回数を2000回に戻す」というのは無理だと思うのです。というより、現代人の弱いあごの関節なら、顎関節症になりかねません。

現代人は全身が弱くなっているのです。歩かない、噛まない。また、世の中は除菌・除菌で、菌にも弱くなっている。それを「あごだけ元に戻す」というのは不可能です。専門家が犯しやすい間違いというのがあって、自分の研究している領域のことだけを取り出して、「昔に戻しましょう」とか「もっと鍛えましょう」とか言うことです。しかしそれは、とても難しい話なんです。

後天的にあごを大きくするとしたら、歯科医が介入するしかありません。イヌ型をヒト型にするベストな方法は、8歳から12歳までにエキスパンションという顎骨を広げる装置を入れることです。これは小児矯正の領域です。

成人してからですと、20代の終わりから30代の初めくらいまでは、歯の矯正で、小児ほどではないですが、ある程度の改善が見込めます。下部の、顎骨本体を大きくすることは無理ですが、あごの上部にある歯槽骨だけは広げることができるからです。

困ったことに、イヌ型とチンパンジー型、どちらにもあるのが「歯の倒れこみ」です。あごの形を変えるのは無理だけど、歯の倒れこみを直すだけでも、不定愁訴の症状はだいぶ軽減される傾向にあります。

ただ、40歳を過ぎたら、歯を丸める方法を選択する方がいいです。現代人は40歳過ぎには、ほとんどの人が歯周病にり患していますし、矯正治療自体が、体に大きな負担をかけるので、歯をほんの少し削って、舌の刺激を軽減させたほうがいいのです。

あごのスケールは遺伝的要因が優位なんですが、たった一代で受け継がれていく、という特徴があります。

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