数々のベストセラーを仕掛けた編集者・柿内尚文の仕事術 (2/4ページ)
内容がすごく良くて、熱い思いも伝わってくる。ここに、松岡さんの動画の面白さを組み合わせたらもっとメッセージが伝わるのではないかと考えて、企画を作りました。入り口は面白く、そして中身は熱くて深いメッセージが書かれている本を松岡さん側に提案したんです。一見、松岡さんの言葉は突飛に聞こえますが、心に深く届くメッセージが込められているわけですから。
――結果、松岡さんの本はシリーズ化しましたし、PHP研究所から「日めくり」も出て大ブームになりましたね。柿内:そうですね。アスコムでも4冊出させていただき、シリーズで40万部のヒットになりました。人は「真面目」なものよりも、「面白い」ものにより反応しますが、「面白さ」と「真面目さ」が融合できたのがよかったんだと思います。
――しかも、この本が多くのアスリートの方々に勇気を与えているそうですね。柿内:そうなんですよ。卓球の平野美宇さんはこの本の影響を受けたとテレビで紹介してくれました。この本の中にある「二重人格は素敵だ!」という言葉がそれです。
また、2015年の夏の甲子園に出場してベスト8入りした秋田商業高校のナインが、この本をチームで回し読みして、ピンチでも負けない心を作ったとスポーツ紙に載っていたこともあります。実際、秋田商業に電話で問い合わせたところ、本当のことでした。
柿内:本が一人歩きをしているのが嬉しかったですね。アスリートだけではなく、いろいろな方から感想が来ますよ。「就職できました!」「告白する勇気をもらいました!」とか。松岡さんの言葉が人の背中をいろんなところで押しているんですね。この本を作ってよかったと何度も思いました。
―― 一方で横山光昭さんの『はじめての人のための3000円投資生活』は57万部を突破。投資本がここまで売れるとは、という印象です。柿内:普通なら「3000円で投資なんて」と思うでしょう。でもその真逆のキーワードをくっつけることで、新しい価値になりました。お金の不安はあるけど、どうしたらいいかわからない。