狩ったのはタヌキ?ムジナ?裁判沙汰にまでなった大正時代の「たぬき・むじな事件」 (2/3ページ)
そこで男は、とりあえず洞窟に「ムジナ」2頭を追い込んで閉じ込めておき、本命の大物を狙うため、より山奥へと進んでいきました。
その3日後の3月3日、果たして大物が獲れたかどうかはご想像にお任せするとして、帰り道。
洞窟の入り口を開けて、閉じ込めておいた「ムジナ」を2頭とも射殺。せめてもの?収獲として持ち帰ったのでした。
タヌキか?ムジナか?勝負は法廷へタヌキ?いいえ、ムジナです。
……が、山から「ムジナ」を狩ってきた彼を見た警察は、狩猟法に定める禁猟期を犯したとして彼を逮捕。警察は彼の狩った動物を、3月1日以降は禁猟となる「タヌキ」と判断。
「『タヌキ』を射殺したのは3月3日だから、禁猟期違反だ!」
しかし、彼は反論します。
「馬鹿言いやがれ。俺が撃ったのは『ムジナ』だ!そもそも俺がムジナを『狩った』のは洞窟に閉じ込めた2月29日、殺すのが3日延びただけで、仮にこいつが『タヌキ』だったとしても、てめぇらにとやかく言われる筋合いはねぇやい!」
さぁ、撃ったのはタヌキか、狩ったのはムジナか。
男と警察の喧々諤々たる口論は収まらず、それなら「お白州で決着つけようじゃねぇか!」「望むところだコンチクショウ!」と、訴訟の火ぶたが切って落とされたのでした。
一審は有罪……しかし男は……が、一審は無情にも「有罪」。
「バカもん。タヌキとムジナが同じ生き物だってことくらい、今どき常識じゃろうが。