日本のモノづくり現場で求められる「FOA」という考え方とは? (1/3ページ)
2011年にドイツの産官共同プロジェクトが提唱し、その後世界を席巻しているプロジェクト「Industrie4.0(第4次産業革命)」。これは、それ自体が目標として定められた「革命」でありながら、注目度の高い新たな産業高度化の概念だ。
その中核にあるのは、IoTに代表されるITの活用だが、日本の製造業はまだこの潮流に対応しきれていないのが実情といえる。
『日本版 インダストリー4.X 日本の強みを活かすIoT革命』(奥雅春著、ダイヤモンド社刊)は、現場の“事実情報”に根差した、人や組織のアジリティを高める IoT活用のコンセプトを提言し、その具体的なシステム展開である「FOA(Flow Oriented Approach)」を解説した一冊だ。
「FOA」とは、現場のコトバをベースに、製造現場で発生する生データに背景や説明情報を加えることで、意味のあるメッセージとして即座に“データ”を“情報”化し、共有する仕組みだ。
この現場発のIT論は、日本の製造業の強みを活かしながら、デジタル・ビジネス・アジリティ(DBA)を向上させる一手となる考え方だ。その一部を紹介していこう。
「FOA」のシステムの大きな特徴は、まず“データ”ではなく“データを統合した情報”に着眼している点だ。
ものづくりの現場には、性質の異なる2つの情報の流れがある。
一つは、商品や製品の設計図面や製品仕様書、生産計画やリソース配分、販売活動まで含めた「設計情報」。
もう一つは、IT化の側面からはあまり議論されることのなかった「事実情報」の流れである。
「事実情報」は、現場で発生しているさまざまな事象のうち、人のアクションをもたらすという点で重要視されるもの(人の行動や思考に影響を与える)、つまり「有意な」事象を指す。
たとえば、「○月○日○時○分に、第一工場の第一ラインで、Aさんが、Bという製品につかう金属棒を、自動機Cを用いてカットした。