マジックマッシュルームは昆虫の脳を混乱させるために進化した (3/4ページ)

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 そうした環境においては、昆虫に食べられる危険があるばかりか、食べ物を巡って競合する関係にもある。腐った木の中では、キノコとシロアリはライバル同士なのだ。

 シロシビンはそうした昆虫の頭を真っ白にしてしまうのかもしれない。たとえば、別のセロトニン受容体拮抗薬である5HT-2Aには、果物の上にとまっているショウジョウバエに食べるのを忘れさせてしまう効果がある。

 そのときのショウジョウバエがどのような体験をしているの分からないが、おそらく楽しいものではないだろう。人間に快感をもたらすドラッグは、ドーパミン報酬系に作用しているが、昆虫にはこれがないのだ。

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 また別のキノコの毒であるムスカリンは、やはりシロシビンを作るアセタケ属の仲間でよく見られる。

 このことは、こちらにも似たような目的があることを示唆している。ムスカリンは、電気信号を筋肉の動きに変換するのを助ける神経伝達物質アセチルコリンの振る舞いを真似する。

 これが昆虫に対してどのような影響を与えるのか分からないが、人間がムスカリンを含むキノコを食べた場合、PLS症候群を引き起こす――異常な発汗、唾液の分泌、流涙が生じるのである(ちなみにアセチルコリン模倣体として一番有名なのは、ニコチンだ)。
 
 昆虫を操るのはこうした木や糞を分解するキノコだけではない。寄生性のキノコもまた神経伝達物質を模倣する化学物質を利用して、犠牲者を奴隷にしてしまう。

 シロアリのような社会性の昆虫はこうした侵略に対して特に弱い。

 と言うのも、彼らの生存の鍵を握るのは個々の強さではなく、社会性であって、それにはより繊細な脳の力が必要になるからだ。
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