大腸菌が描いたモナリザ。そしてアインシュタインの顔からダーウィンの顔に変化(イタリア研究) (1/3ページ)
腸内に生息するバクテリアの一種、大腸菌はモデル生物の一つとなっており、各種の研究で材料とされるほか、遺伝子を組み込んで化学物質の生産にも利用される。
そのDNAにデータを記録したり、保存して読み込んだり(関連記事)たりと、様々な利用が期待されている。
そんな中、イタリアの研究者たちが、遺伝子操作した大腸菌でモナリザ像を描き上げることに精巧した。
もともとは異なった特性を結合させて、大量のバクテリアをコントロールすることができるのか試す実験だったのだが、大腸菌は期待以上の働きをしたようだ。
いつか、バクテリアを使ったミクロ輸送装置や3Dプリントができるかもしれない。
・大腸菌の鞭毛と明るいところに移動する習性を利用
研究を率いた、ローマのサピエンツァ大学のロベルト・ディ・レオナルド氏は、「マイクロスケール的ななにかを安く手軽に作り上げるレンガとして、バクテリアを利用することができるかもしれないという概念の興味深い証明だと思う」と語る。
進化とは、たくさんの見事な生き残り戦略を生み出すものだが、こうした特質がすべて、同じ生物体に同時に備わるわけではない。
ご存じのように、魚は口がきけないが、水中で息ができる。一方、人間は口はきけるが、水中では溺れてしまう。
今回のケースの場合、研究者たちは、光に反応する感光性タンパク質、プロテオロドプシン(細菌の光依存性プロトンポンプ)──要するに細胞の太陽電池パネルのようなもの──を大腸菌の動く小さな尾である鞭毛と合体させることに関心をもった。
バクテリアが光をたくさん受け取るほど、尾が早く動くシステムを作り出そうと思ったのだ。