「ママ?ママ?」狩ってはみたけれど……。自分に甘えてくるヌーの赤ちゃんを守るメスライオン
野生の王国、アフリカのサバンナでは、日々動物たちによるドラマが繰り広げられている。弱肉強食の厳しい掟のもと、我々人間が手を触れることの許されないリアルな世界がそこにはある……わけなんだが。
たまに、ごくたまにであるが、その厳しい掟が覆ったり無視されたり、奇跡のような展開が起こったりすることもあり得るらしい。今回はそんなレアな事件をご紹介しよう。
なお動画の前半は、雄大なサバンナの映像が流れるので、しばらくはこちらも楽しんでね(事件発生は2:30あたりから)。
Baby Wildebeest Treats Lioness Like Mom
ここはアフリカのサバンナ、セレンゲティ国立公園だ。雨季が終わり、野生の世界では出産シーズンが到来した。
生まれたばかりで動きの鈍い子供たちは、肉食獣たちにとっては恰好の獲物である。
この季節、草むらに潜んで出産の様子を観察しながら、獲物を物色するプレデターたちの姿も珍しくない。
そしてこの日、生まれたばかりのヌーの赤ちゃんが、メスライオンに狙われた。
母親が必死の抵抗を見せるも、ライオンにはかなわない。
ヌーの赤ちゃんの命運は尽きたかに見えた。
出産直後で、まだ身体が乾いてもいない赤ちゃん。
だがこの時、奇跡が起きた! 生まれて間もない赤ちゃんは、ライオンが何かも知らない。ただただ、母親を求める本能で、なんと自分を襲ったライオンに甘えるようにすり寄って行ったんだ。
母親がその様子を、心配そうに見つめている。
かぷり、と一度は噛みついてみたライオンだが、どうやら甘噛みの域を出ていない模様。ライオンの方も、赤ちゃんの想定外の行動に困惑しているように見える。
そしてなんと、ライオンはその後完全に殺意を失ってしまったらしく、ヌーの赤ちゃんをあやすかのような行動を見せ始めた。
ヌーの赤ちゃんも、ライオンの顔や身体にすりすり。なんとなく、お乳を探しているようでもあるね。
メスライオンが赤ちゃんを見つめるまなざしは、既に柔らかいものになっている。
やがてライオンは赤ちゃんのもとを離れて行った。このころにはもう、赤ちゃんの身体は完全に乾いていて、しっかりと自分で立てるようになっていた。
その後赤ちゃんは、無事にお母さんと合流。この弱肉強食の野生の王国で、とりあえず今回は生き延びることができたようだ。
この動画には映っていないけれど、この時周囲には赤ちゃんを狙うハイエナなども集まっていたらしい。結果的に赤ちゃんはライオンによって、自分で走ることができるようになるまで守ってもらったようなもの。
この出来事、もちろん一般的に起こることではないし、やはり奇跡に近いハプニングだったと思われる。もしかするとこのメスライオンにも、子供がいたのかもしれないね。
written by ruichan
※この記事はカラパイアの姉妹サイトマランダーから転送したものです。マランダーで前日一番人気の高かった記事を、後日カラパイアの紙面上で紹介しています。