がんや認知症、突然死も…「糖尿病」予防と実態 (3/5ページ)
同じ分量、同じ食材でも、食べ方を工夫することで血糖値の改善に役立つ。寝る2時間前の食事や間食を控えることも、その一つだ。寝る前に食べると、より多くの糖が吸収されるからである。
■健診では問題なしの隠れ高血糖も多い
さて、これを読んでいる読者の中には、「健診で(空腹時)血糖値は問題なしと判定された」という人もいるはず。だが、油断は禁物。空腹時血糖値が正常でも、食後血糖値が異常に高くなる“隠れ高血糖”も多いという。食事をすると、腸から血管に吸収された糖によって血糖値が上がる。血糖の代謝がうまくいっている人は、インスリンというホルモンの働きで、せいぜい140mg/dl程度までしか上がらない。だが、“隠れ高血糖”の人は140mg/dl以上、場合によっては200mg/dl以上に上がることもある。
食後高血糖の危険性は、イタリア人研究者などの実験で明らかになった。血管の内壁細胞に糖分の多い液と少ない液を交互に浸して、人工的に血糖値の急上昇が繰り返される状態で実験をしたところ、内壁細胞から細胞に毒となる大量の活性酸素が発生したのである。この実験を2週間続けたところ、内壁細胞のおよそ4割が壊死してしまったという。壊死までいかなくても、血管の内壁が傷つくと、それを修復するために集まった免疫細胞が傷ついた血管壁の内側に入り込み、壁を厚くして内径を狭める。つまり、動脈硬化が進行していくことになるわけで、これが脳卒中や心筋梗塞などの突然死につながると指摘する研究者もいる。
また、食後高血糖は、血中にインスリンが多い状態が続く。インスリンの濃度が高い状態にしたネズミの実験では、脳にアルツハイマー型認知症の原因物質(アミロイドベータ)が蓄積することも分かっている。食後高血糖が実際に、どれぐらい体に害があるのか、まだ研究段階だが、鈴木院長は、ある糖尿病薬(αグルコシダーゼ阻害剤)だけが心臓血管イベント(心血管疾患を起こしたり、それによって死亡すること)を抑制することから、「水素ガスの発生による抗酸化作用によって説明できるだろう」という学説を2009年に発表。今は、この学説が研究者や専門家の間で広く知れ渡っているという。