ティム・ベイトマンが語る深呼吸の意味。リコーの神戸製鋼撃破に働く勘。 (1/3ページ)

ラグビーリパブリック

 確認を怠ったまま電子メールを送信すると、誤植に気づかないことはないか。物事は落ち着いて取り組んだ方がいい。逆に、落ち着くための方法論が体系化されていたら、世の中を上手に泳げそうだ。

 ラグビーでも然りだ。向こうの防御が整わぬうちに勢いづいてトライを取れることもあれば、ミスボールを相手に拾われてそのまま失点することもある。ここでチームが地に足をつける方法を持っていれば、目に見えない「流れ」に左右されづらくなろう。

 国内最高峰トップリーグのリコーでは、その技法が確立されている。トライを取った時、トライを取られた時、円陣を組んだ選手が深呼吸をするのだ。ゆっくり、ゆっくり。息を整えたら、以後留意すべき点を改めて話し合う。

 発案者は今季新加入のティム・ベイトマン。31歳のニュージーランダーで、2018年のスーパーラグビーを制したクルセイダーズの一員だ。

 過去にはマオリ・オールブラックスの選出経験、日本のコカ・コーラへの加入歴も持つ。複数ポジションをこなせる万能型BKで、ベストポジションのCTBに入ればBKライン全体の深さを微調整しながら効果的なラン、パスを繰り出す。

 そのパフォーマンスでもチームを引き上げつつある31歳のシニアプレーヤーは、周りのパフォーマンスを引き上げる取り組みでも仲間に一目置かれている。そのひとつが、深呼吸の提案だった。本人は言う。

「何度か深呼吸をすると、心拍数が下がってよりよい判断ができるようになる。すると落ち着いて、よりよいメッセージも出せる。修正点や学ぶべき点をしっかりと話せます。次のタスクもクリアに整理できる。互いの話もクリアに聞けます。いろいろなことが起きている試合中に改めて皆がコネクトするには、すごくいい方法だと思います」

 この手法はベイトマンのスーパーラグビーでのプレー先であるクルセイダーズ、ベイトマンの母国の代表チームであるオールブラックスでも採用されているという。

 そういえば今季から主将となった3年目の濱野大輔は、同じCTBに入る新助っ人に「練習中からコミュニケーションを密に取ってくれるのでディフェンスもしやすい。グラウンド外での取り組みにも素晴らしいところがあり、選手にいい影響を与えてくれる」と感謝していたものだ。

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