怖すぎてエロティック…この10年で“最恐”のホラー映画『ヘレディタリー/継承』 (1/2ページ)

まいじつ

怖すぎてエロティック…この10年で“最恐”のホラー映画『ヘレディタリー/継承』
映画評論家・秋本鉄次のシネマ道『ヘレディタリー/継承』

配給/ファントム・フィルム 11月30日よりTOHOシネマズ日比谷ほかで公開
監督/アリ・アスター
出演/トニ・コレット、ガブリエル・バーンほか

世間に不安要素が拡大するとホラー映画がはやる、といわれているが、昨今またぞろホラー・ブーム。スティーブン・キング原作ものが大ヒットしたり、今年も『インサイド』や『クワイエット・プレイス』『イット・カムズ・アット・ナイト』などいろいろ公開されたが、個人的に“真打ち”“最恐”と判定したいのがこの新作だ。

主演の“絶叫ヒロイン”はパツキン熟女のトニ・コレット。ホラー映画だって『シックス・センス』(99年)、『フライト・ナイト/恐怖の夜』(11年)など経験豊富だが、今回が一番コワい、圧倒的に怖い。何が怖いって、悪霊や殺人鬼が暴れ回るのではなく、人間の“血筋”“家柄”から来る根源的なものほど怖いものはない。何しろ、こちらの神経をかなり逆なでにし、真綿で首を絞め、揚げ句に全体を覆い尽くす薄気味悪さが充満している。正直言って後味は悪い。でもその後味の悪さを噛みしめてこそ。親の因果が子に報い…トニちゃんや~い、ってなもんである。

グラハム家のアニー(トニ・コレット)は愛憎入り交じる家長の母が亡くなり、粛々と葬儀を済ませる。しかし、それ以来、夫スティーブン(ガブリエル・バーン)、息子、娘と住む家では奇妙な現象が頻発する。忌まわしい“何か”を受け継いでしまった家族に残酷な運命が襲うのだった…。

スゴ過ぎて逆にエロティック

今回がデビュー作とは思えないほどのアリ・アスター監督の演出は巧み。前記のホラー作品には実はちっとも怖くないコケおどし作もあるが、こちらはヒッチコックの『サイコ』(60年)やロマン・ポランスキーの『ローズマリーの赤ちゃん』(68年)など、ホラー映画の歴史に残る傑作の恐怖と同種のグレード! と、太鼓をたたきたい。

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