倒産寸前のカフェレストラン 経営者が下した驚きの決断とは (2/3ページ)

新刊JP

氏家:だから「儲からないならディナーはやめてしまおう」という考えを持てませんでした。しばらくして本当に経営が苦しくなってからディナーを宴会だけに特化して、徐々に持ち直していくんですけど、本来ならもっと早くやめるべきでした。

――ランチもディナーもやっているお店としては「ランチは薄利なので回転で稼ぎ、利益はディナーで出す」というのがスタンダードなのでしょうか。

氏家:今でこそ少しずつ値上がりしていますが、日本の飲食店のランチはもともと破格に安いんです。その分そこで利益を出すのは難しい。周りのお店がみんな安いから、値上げをしにくいですしね。

だからこそお酒などの注文が増える夜でどうしても利益が欲しいわけです。ここで稼げないと本当に苦しい…。私の店が昔そうだったように、ギリギリでやりくりするような状態になってしまいます。

――そのギリギリの状況を脱出しようと、思い切ってディナーをやめて夜は宴会に特化したことで活路が開けた。

氏家:時期も良かったんだと思います。ちょうど「ぐるなび」のようなサイトが出始めの頃で、インターネットで飲食店を探す時代が来つつあったんです。そこに早めに気づくことができたので、早速登録して販促ツールとして使ったのがうまくいきました。

――ディナー営業を宴会に特化して以降、お店の営業スタイルはどのような変遷をしていったのでしょうか。

氏家:ディナーを宴会だけにした後は、ランチをやめて、カフェもやめて、完全に夜の宴会だけにしました。その過程で徐々にガトーショコラの人気が出てきたのですが、今のようにガトーショコラ一本でやるにはまだ厳しいかなという感じでした。世の中そんなに甘くないだろうと。

――なぜ最終的にガトーショコラ一本に絞る形になったのでしょうか。

氏家:「ケンズカフェ東京」のオープン時からチーズケーキだとかプリンとか、カフェ的なスイーツを出してはいました。ガトーショコラはそのうちの一つだったのですが、宴会で出すようになった時に「すごく美味しい」「売って欲しい」という声をいただいたんです。

でも断っていたんですよ。うちはレストランであってケーキ屋さんじゃないから、ということでやりたくなかったんです。

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