倒産寸前のカフェレストラン 経営者が下した驚きの決断とは (3/3ページ)

新刊JP

でもあまり言われるものだから仕方なくラップに包んで、適当な紙袋に入れて売るようになった。それが最初ですね。自分もまさか最終的に「ガトーショコラ屋さん」になるとは思っていなかったです。

――ガトーショコラに特別な思い入れがあったから「ガトーショコラ専門店」になったわけではないんですね。

氏家:売るのを嫌がっていたくらいですからね(笑)。ガトーショコラって材料を混ぜて焼くだけで、誰でも作れるものです。それもあって、確かに美味しいんだけど取り立てて売り物にするほどのものでもないと思っていました。

売るようになったから、ということで店のメニューに書いたらまた注文が増えて、口コミで広がって、そのうちに取材がたくさん来るようになって、という感じですね。

――今ではガトーショコラ専門店になっている「ケンズカフェ東京」ですが、別の商品や味・サイズの異なる商品を売らずにガトーショコラ一本にこだわる理由はどんな点にあるのでしょうか。

氏家:うちのガトーショコラは一本3000円なのですが、仮にハーフサイズを作って1500円で売ったとすると、倍売れてようやく売り上げは同じですよね。倍売れたらその分手間暇、コストがかかるわけですから、それならば今のサイズだけでやっていた方がいいという考えです。

違う味を出すケースも同じで、たとえ売り上げが上がってもその分コストがかかりますし、ロスも出やすいんです。ミスだって起こりやすくなりますしね。そういう理由があってガトーショコラ一本でやっています。その方が原材料にお金をかけられますし。

ただ、ビジネスを大きくしていくなら商品が一種類というわけにはいかないでしょうね。うちのような年商3億円ほどのスモールビジネスだからできることだと言えます。

――ビジネスを拡大する計画は今のところないということでしょうか。

氏家:そうですね。これ以上大きくすると人件費や場所代など、いろいろなコストがかかってきます。現状スタッフ4人で今の年商を稼ぎ出しているという意味では、究極的に生産効率が高い状態ですし、一つの理想の形なんだと思います。

(後編につづく)

「倒産寸前のカフェレストラン 経営者が下した驚きの決断とは」のページです。デイリーニュースオンラインは、カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る