日本代表復帰へ「準備はしています」。ヤマハ日野、痛恨スクラムへの見解は。 (2/3ページ)
もともとスクラムは互いに一定の距離を取って組み合うきまりだが、実際にはぶつかり合う前から間合いを詰めたり、相手のジャージィをつかみながら重圧をかけたりといった駆け引きが存在する。どのチームもルールに基づいて組んでいるが、センチ単位の争いのなかには互いの解釈の相違が発生しうる。この日の堀越は、結果的に組み合う前から「ギャップ」を詰められたように感じた。
もし敵軍のあらゆる所作が合法と見なされた場合、自分たちは、もしくは自分はどう対処すべきか。ヤマハの苛烈なプレッシャーにやや戸惑ったという堀越は、前向きな言葉に検討事項を混ぜ込んだ。
「ギャップが詰められたなかでもいいヒットのできたスクラムもあったので、そこはいい経験だったと思います。ただ、ギャップが本当にないなかでどういうスクラムを組むかは課題として残ったと思います」
ヤマハはサントリーをスクラムで追い込んだ。しかしある1本のスクラムで、大いに泣かされた。22-10とリードして迎えた前半39分、敵陣22メートル線付近中央で組んだ相手ボールのそれだ。
前半いくつか組んだスクラムと同じく首尾よく相手に刺さるも、塊を故意に崩すコラプシングの反則を取られたのだ。間もなくサントリーはSOのマット・ギタウにペナルティゴールを決めさせ、点差は22-13と詰まった。
この時、差し込まれたサントリーの最前列が腰を丸めたような形で自立していて、差し込んだヤマハの最前列は肘や膝を地面につけてしまっていたような。サントリーの堀越は、問題の1本に至るまでのレフリーとの対話について述懐する。
「僕の対面の選手がバインド(最初のつかみ合い)の段階でギャップを詰めて、ほぼ入っている状態で組んでいた。それをレフリーにアプローチしていたら、結局、(ヤマハの反則を)取ってくれた。レフリーとコミュニケーションを取れて、良かったかなと思います」
対する日野は、悔しさをあらわにした。
「試合のビデオを観返してもらって相手の顔をみたらわかると思うのですけど、絶対に組み勝てていた」
もっとも最後は、生来のジェントルマンシップで締める。怒りの矢印は自分たちへ向ける。