『西郷どん』最終回が“神回”となった演出の妙とは? (2/2ページ)

日刊大衆

島津久光(青木崇高/38)や徳川慶喜松田翔太/33)、勝海舟(遠藤憲一/57)、さらには愛加那(二階堂ふみ/24)らの懐かしいキャラが再登場し、それぞれが西郷に想いを馳せ、感動を呼んだ。西郷隆盛という男が、多くの人を愛し、多くの人に愛されてきたことを表す、素晴らしい最終回だったのではないだろうか。

 しかし、最も感動的だったのは、大久保利通が自身の死に際に西郷を回想するシーンだ。死にゆく大久保が思い出したのは、西郷と一緒に薩摩を出ていく場面だった。これは第13話のラストシーンだったが、この第13話をあらためて考えるとさらに涙が止まらなくなる。

■ラストシーンに込められた思い

 実はこの第13話では、なんとしても大久保利通を江戸に連れていき薩摩藩の政治の中心に加えたいという西郷と、自分の力で江戸に出たいという大久保が、かつてないほどに衝突する回だった。その後、2人は仲直りして、ともに薩摩を出ていくのだが、まさにその場面を大久保は死に際に思い出していたのだ。

 仲違いはしてしまったが、あのときのように再び西郷と分かり合えたら……。そんな大久保の心情がくみ取れた。そう考えると最終回で西郷が降伏しないと聞いた大久保が、激しく取り乱したことにも納得がいく。最近は敵役として描かれていた大久保利通の目線が加わることにより、見事に感動を増幅させたのだ。

『西郷どん』は戦争に勝っても、明治維新を成功させてもカタルシスがなかった。むしろ西郷隆盛や大久保利通の「哀しさ」を描いた、珍しい英雄譚だった。その最終回も切ない展開だったが、『西郷どん』ファンはむしろ大満足だったのではないだろうか。そしてまた、「チェスト、気張れー!」と声をかけてもらえたような、元気になれる最終回でもあった。この『西郷どん』の最終回は、大河ドラマファンの間で当分、語り草になるはずだ。(ドラマライター・半澤則吉)

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