<東京暮らし(7)>野村萬斎さんに聞きました (1/3ページ)
<文 中島早苗(東京新聞情報紙「暮らすめいと」編集長)>
狂言師で演出家の野村萬斎さんに話を聞く機会を得た。
萬斎さんといえば、2020年東京五輪・パラリンピック組織委から、同開閉会式・総合統括に指名され、今最も忙しい日本の顔としても知られる。
野村萬斎さんは1966年、東京都練馬区出身。父・万作さんは人間国宝(撮影/岡田晃奈)東京新聞Webでも、記者会見で萬斎さんが演出について「深い和の精神を発信したい」と発表した内容を伝えている。
インタビュー当日、袴姿で現れた萬斎さんはスレンダーで、何より姿勢が良い。写真撮影のために、稽古場の舞台でピタリと型を決めてくれた時も、微動だにしない。
「体幹トレーニングなど、何か特別に体を鍛えてらっしゃるのですか」との筆者の質問に、「いえ、しません。稽古が体幹トレーニングになっているのでしょうね」。
さすが芸歴約50年、お見事である。
伝統芸能の狂言師としての活動と、東京五輪・パラの式典の演出について、萬斎さんの話をインタビュー形式で記してみたい。
「生を謳歌する『復興五輪』にしたい」――「日本の精神にのっとった演出」とは、どのようなものですか。
萬斎 五輪・パラは、戦争ではないスポーツという手法によって国が競い合う、平和的な祭典、祭りですよね。生きることを謳歌するのが、その本来の精神だと思います。一方、日本の祭りはもともと、先祖など死者の魂を鎮めるためにあり、今回は「復興五輪」でもある。その意味で、「鎮魂と再生」が一つのテーマになると思っています。失われた魂を思い、その「生」を継承してゆくと考えると、今生きていることの大事さがより強く感じられる。生命力の祭典であるからこそ、うしなわれたものに対する祈り、鎮魂も感じとれるような式典が、日本の精神に近いのかなと思います。――「復興」とは3.11からだけでなく、という意味もありますね。