世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第304回技術と「豊かさ」 (2/3ページ)
さて、資本主義はインド製綿製品(キャラコ)に対抗するため、イギリスの元・毛織物業界が技術開発、設備投資を始めたことで口火を切った。技術や設備により綿製品の生産性を向上させ、人件費が6分の1のインド綿産業に打ち勝つ。いわゆる、産業革命である。産業革命は、イギリス綿製品の「単位労働コストを引き下げる」生産性向上が目的だったのだ。
産業革命により、資本が資本を生産し、技術が支援し、生産者1人当たりの生産量が激増する「資本主義経済」が本格的に始まった。資本主義により、人類は初めて「継続的に豊かになる経済」を手に入れた。もっとも、当初はイギリスをはじめとする「一部の国」のみが資本主義国となり、そうではない「低生産性国」との間の格差が開いていく。
結果的に、資本主義国が自国の高い生産性のもとで生産した商品を低生産性国に売り込み、所得を収奪する「帝国主義」の時代が始まった。それはともかく、歴史を振り返れば、資本主義の肝、生産性向上を実現する最強のツール(あるいは「概念」)が技術であることが理解できる。技術の発展なしでは、豊かな生活は実現できない。
2019年初頭、建設機器大手のコマツが、2021年までに無人運転の建設機械を商用化するとのニュースが流れた。コマツは国内建設産業で深刻化している技能労働者不足に対応するため、現場の省人化を目指しているわけである。
具体的には、まずは小型無人機ドローンを飛ばし、地形を計測、撮影し、三次元測量データを作成する。さらに、測量データを活用し、ショベルカーなどの建設機器と連携。AIにより現場の画像を分析したショベルカーは、測量データに基づき土砂を「正確」に掘り、指定の位置に自動的に運ぶ。土砂が積み込まれたダンプカーも全自動で、カメラで障害物などを検知しながら、指定の場所へと運搬する。
結果的に、建設機器の操縦者の技能のばらつきがなくなり、施工の生産性向上が達成される。さらには、ショベルカーの近場で掘削の目安を示す人手が不要となり、安全性も高まる。
実は、
「ドローンで測量し、三次元測量データを作成。データを建機にインストールし、ミリ単位で正確に施工する」
という技術はすでに確立し、現場に導入されつつある。