「夢中になれるものが見つからない」と悩む人たちへの小説家のメッセージ (5/5ページ)
――「星六花」の奥平はまさにオタクというか、自分の持っている知識をあますことなく教えますよね。本当に好きなんだということが伝わる。
伊与原:教えたがりですよね。研究者もそういう人は多いですよ。研究成果を誰に頼まれなくても伝えたいという人はいますし、一部の分野を除いて秘密にしたがる人はほとんどいません。
――本書は「科学」が通底していますが、それ以外にも人生を委ねられるものはあるなと思います。本作でいうなら、「天王寺ハイエイタス」の哲おっちゃんは音楽ですし。伊与原:「天王寺ハイエイタス」の主人公は、自分が何者でもないことに悩んでいますけど、そういう人にとってみても、周囲に夢中になっているものがある人がいるということがささやかな希望になるのではないかと思うんですね。それが伝わるといいなと思います。
――では、読者の皆様にメッセージをお願いします。伊与原:誰が読んでも「自分の話かな」と思える部分があると思いますので、ぜひ読んでみてほしいです。
(了)
■新潮社ウェブサイトにて、本書収録の「月まで三キロ」「星六花」を1月31日まで無料公開中。
https://www.shinchosha.co.jp/tsukimade3kiro/info.html