「夢中になれるものが見つからない」と悩む人たちへの小説家のメッセージ (2/5ページ)
――「科学から離れたいと思うこともある」とおっしゃいましたけど、それ以外のテーマで書くとしたら何か書いてみたいことはありますか?
伊与原:今はもう完全に離れて書くというのは考えていなくて、仮に離れても少しは科学や研究者というテーマが関わってくるようなものが自分にとっては良いのかなと思います。
これはある方に言われたのですが、「自分のインスピレーションの源が科学であれば、そのテーマで書いた方がいいし、無理をして万人受けするように取り組もうと思っても、5年後、10年後厳しくなるだけじゃないですか」と。本当にそうだと思いますし、自分が無理せずに書ける題材に科学を少しエッセンスとして入れてみるような形で書いていこうかなと思っています。
本作もあまり理系と思われずに読んでもらえる小説を書こうと思っていました。帯で北上次郎さんにもコメントをいただきましたが、ドラマを中心に据えようと。
――もともとは研究者だった伊与原さんですが、小説を書こうとされたきっかけは?伊与原:当時大学に勤めていたのですが、研究も上手くいかず、あまりやる気もなくて(苦笑)、そんなときに小説のプロットをふと思いついたんですね。もともとミステリ小説を読むのが好きだったのですが、トリックを思いついて「これはミステリ小説の題材にできそうだ」と思って、書き始めたのがきっかけです。
――ふと思いついたプロットを使って小説を書いた。伊与原:そうです。そのプロットは「二度目の満月」という作品で使って、江戸川乱歩賞の候補作になりました。
――もともとミステリが好きだった、ということで影響を受けた作家さんはいらっしゃるんですか?伊与原:影響と言われると特に名前はあがらないのですが、当時から読んでいて好きだった作家さんで言うと、東野圭吾さん。あとは綾辻行人さん、島田荘司さん、京極夏彦さんも好きですね。