免疫学者が免疫系の仕組みを日常生活や職場に例えてわかりやすく説明。海外版、はたらく細胞 (2/4ページ)
肺の中でインフルエンザウイルスに遭遇したかもしれないし、蚊に食われたばかりの皮膚の中でデング熱ウイルスに遭遇したかもしれない。
そうした経験を積んだ樹状細胞はリンパ節に向かう。ここは免疫細胞の協力を円滑にするための器官だ。
彼らはこの場所で有能なリーダーとして、チームメンバーに自らの経験を伝え、ビジョンを示す。免疫細胞チームが一致団結し、病原菌の根絶という共通の目標に向かって動き出すためだ。
中でも樹状細胞にとって最も重要なことは、さまざまな専門能力を組み合わせた力について把握することだ。免疫チームの強さの秘訣は、メンバーの多様な背景だからである。
そのために樹状細胞はケモカインという小さな分子を分泌する。これは各種の免疫細胞同士のコミュニケーションを円滑にする機能があり、樹状細胞はチームメンバーとプランの話し合いがしやすくなる。
免疫学用語でこのことを「リクルートメント(求人の意)」という。
繰り返すが、現実の職場と同じく、多様性こそが鍵だ。多様な人材を集めることができなければミッションは失敗する。
だが樹状細胞がとりわけ多く採用するのはT細胞で、彼らにその知識と戦略を伝える。
T細胞はこの知識と戦略に従い、自ら病原菌との戦いに備えるか、B細胞のような防衛部隊との協働体制を敷く。このようにして免疫チームの感染症やがんとの戦闘体制が整えられるのである。
・2. 賞賛も批判的も含め、フィードバックから学ぶ
免疫細胞たちは優秀な生徒でもある。
T細胞は好意的な評価からも批判からも学んで成長する。