木村拓哉『マスカレード・ホテル』に忍び寄る「月9の亡霊」 (2/3ページ)

日刊大衆

映画が始まって最初のクレジットを見れば、フジテレビのドラマ部が製作した映画だというのは知れますが、全部を観終わった後には、「まるでかつての月9のダイジェスト版じゃねえかよ」と思わずスクリーンに突っ込んでしまいました。

 今では信じられないかもしれませんが、かつてフジテレビは、オリジナリティにあふれ、視聴率も高い番組をいくつも放送する、先鋭的なテレビ局だったんです。特に月曜夜9時からのドラマ枠は「月9(げつく)」と呼ばれ、この時間帯に放送される恋愛ドラマを見るために、OLたちは残業せずにまっすぐ帰ったと言われています。今では「テレ東のほうが面白い」というのが定説になってしまいましたが、昔は本当にすごかったんですよ。

 そんな優良コンテンツだったフジ月9の亡霊を、まるで平成最後の年に蘇らせようとしているのが、この『マスカレード・ホテル』でした。

 ネタバレになってしまうので書きませんが、この『マスカレード・ホテル』の中で、物語のヘソとなる重要人物もやっぱり月9の常連の役者が演じてます。

 ちょっとでも新味があるのはヒロインの長澤まさみだけ。もっとも彼女も、『プロポーズ大作戦』(2007年)、『コンフィデンスマンJP』(2018年)で月9に出ているので、まったくの新顔というわけではありません。

 役者陣から演出まで、まるで「月9」の再現版みたいな空気感――。昨今は、「凋落著しい」という枕詞とともに語られるようになってしまったフジテレビが、ついに過去の栄光を求め、かつて作った物の中からパクってしまった……といったらちょっと厳しすぎでしょうか。

■いろいろあってもいつものキムタク

 で、この作品の中で、木村拓哉は、「ミスター月9」と呼ばれていた1990~2000年代に、自ら演じていた「キムタク」を再演しています。2016年のSMAP解散騒動や、その後のキムタクバッシングなどなかったかのような、見事なタイムスリップです。

 惜しむらくは、キムタクがちょっとずつ老けてしまっていることです。

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