識者が語る ロシアに経済制裁が効かない本当の理由 (2/5ページ)
ヨーロッパのロシア産天然ガスへの依存度は約3割ほどで、今後さらに依存度が増していく傾向があります。
安いのもありますし、旧ソ連の時代から政治的にどんなことが起きても淡々とサプライをしてくれる。ここに制裁で手を入れると、ロシアというよりもむしろヨーロッパの産業基盤を攻撃することになってしまうわけです。
――本の中でも「経済制裁は諸刃の剣」と書かれていました。加藤:おもしろい話があって、ガスプロムっていうパイプラインガスを供給するロシアの国営公社があるんですけど、その会社がヨーロッパで債券を発行しているんですね。
その債券を買って所有することによって自分も二次制裁の対象になってしまうリスクがあるわけですが、ヨーロッパの投資家はまったく気にせず購入し続けています。昨年11月にもユーロ債を10億ユーロ発行しているのですが、購入オーダーは14億から15億ユーロ集まっていて応募が超過しているような状態です。
――ヨーロッパ経済との結びつきの強さからいって、ガスプロムは制裁の対象にできないという計算があるということでしょうか。加藤:それもあるでしょうし、制裁の対象になっても信用は大きく低下しないという判断もあるはずです。
私も驚いたのですが、例えばガスプロムが制裁で資産凍結の対象になったら、信用不安が起きて債券の償還ができない事態になるケースも考えられるわけですよね。
ただ、その債券の目論見書を読んでも、そういったリスクがあることは書かれているけれど、ガスプロムがアメリカのSDNリストに入ったりして制裁の対象になったとしても、強制的に債券を償還させるような投資家の権利についての規定は確認できない。
――仮にアメリカがガスプロムを制裁対象にしても、EUとの足並みはまず揃わないでしょうね。加藤:そう思います。先ほどお話ししたように、天然ガスの分野を制裁対象にするとヨーロッパの産業が打撃を受けてしまうので、EUは徹底的に抗戦するはずです。